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生田信一(ファーインク)
江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました

江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

東京都台東区谷中にある江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました。江戸期に発達した木版刷りの千代紙を現代に再現した数々のグッズを扱っているお店であることを知り、覗いてきました。

場所は、地下鉄千代田線千駄木駅を下車、団子坂出口を出て徒歩5分。店までの通りを歩くと昔ながらの風情のお店に出会います。しばらく歩くと、いせ辰谷中本店に着きます。中に入って店員の山崎さんのお話を聞きしながら買い物をしてきました。

江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

江戸情緒にあふれたおもちゃや熨斗袋

訪問したのは2020年の10月末頃でしたが、店頭のショーウィンドウには新年に向けての丑(うし)の張子人形や熨斗袋などが飾られていました(写真1)。

(写真1) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真1)ショーウィンドウを覗くと、江戸風情にあふれた楽しい小物がいっぱい。

いせ辰のサイトを覗くと、お店について以下の記述があります。

「いせ辰は、江戸末期の1864年に千代紙・おもちゃ絵の版元として神田元岩井町(現岩本町)で創業しました。
千代紙とは布地などにある伝統的な文様とか、自然や時代の生活をテーマにした絵機微で、奉書紙に木版手摺りしたものをいいます。きれいな千代紙は姉さまあそびなどで婦女子に愛玩され蒐集されました。おもちゃ絵は子供用の錦絵として現代の絵本のような役割もしました。

江戸千代紙は京都の物と違い、男性的なはっきりとした色使いが特徴で歌舞伎や江戸風俗など題材にして「江戸風情」が描かれています。

いせ辰には千種類にも及ぶ千代紙やおもちゃ絵があり、江戸の粋なデザインを施した和文具、おもちゃ、縁起の張子なども作っています」(いせ辰サイトより抜粋)

店内に陳列された商品の写真を撮らせていただきました。どれも色使いが鮮やかで、絵柄も江戸情緒を思わせます(写真2、3)。

(写真2) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真2)

(写真3) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真3)
(写真2、3)店内の様子を撮影させていただきました。

(写真1) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真1)ショーウィンドウを覗くと、江戸風情にあふれた楽しい小物がいっぱい。

(写真2) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真2)
(写真2、3)店内の様子を撮影させていただきました。

(写真3) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真3)

伝統的な技法で刷られる千代紙

いせ辰のサイトでは、江戸千代紙は江戸期の版画の技法を用いて作られ、その伝統を現代に引き継いでいることが述べられています。

「絵師、彫り師、摺り師という三工程の職人の手を経て一枚の千代紙が出来上がります。いせ辰は創業時から千代紙・おもちゃ絵の専門版元として次々作品を作りましたが、関東大震災と戦災で多くの版木を消失し、一時期は店舗ももてませんでした。

その間に千代紙は子供向けだけと思われていたのか、浮世絵などと違い印刷の技術が進歩していくとともに安手の模様紙に姿を変え本来の姿を失いました。いせ辰は美しい千代紙の復刻を続け、伝承版画の技術で、本来の千代紙の姿を今に伝えています」(いせ辰サイトより引用)

(写真4)は「室町千代紙」が陳列されている棚です。「室町千代紙」については以下の解説があります。

「室町千代紙はいせ辰を代表する商品の一つです。伝統的な江戸柄が機械で印刷され、季節の花柄、縁起柄、歌舞伎柄など、様々な種類の模様があります。伝統的に千代紙は箱張りや紙細工、姉様などの紙人形作り、或いは観賞用に用いられてきました。

同時に、近年、和のセンスを現代の生活スタイルに取り込むことが流行しており、室町千代紙は手軽に使える伝統的な和紙として人気があります。現在では、ブックカバーやランチョンマット、ラッピングなど、現代的な用途も加わり、幅広く手軽に使われています。もちろん、額に飾って四季を身近に感じるのも、この紙の素敵な使い方です」

筆者は店頭で室町千代紙を選び、数枚を購入しました。絵柄が多くて迷いましたが、使い途を考えながら購入するのは楽しいです。

(写真4) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真4)「室町千代紙」が陳列されている棚。種類がたくさんあり、迷うほどでした。

(写真4) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真4)「室町千代紙」が陳列されている棚。種類がたくさんあり、迷うほどでした。

ぽち袋は活版印刷で刷られているものがありました

ぽち袋は、木版手刷りの物があり、絵柄も様々なものがありました。 (写真5)は筆者が気に入って購入したものです。豪華な多色刷りで、刷りを何回も重ねていることが伺えます。思わず見惚れてしまいました。

(写真5) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真5)木版手刷りのぽち袋。

ぽち袋には活版印刷で刷ったものがあります。値段が手頃なのが魅力です。筆者は10枚セットのものを購入しました(写真6)。絵柄がどれも素敵です。印刷インキの重ね合わせなど、工夫を感じます。

10枚のセットの中には「のし」の形が付いたものと、付いていないものが混ざっています。店員の山崎さんの話によると「お客様によっては、のしが付かないもので渡したい場合もあるから」とのことでした。

(写真6) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真6)活版印刷で刷られたぽち袋。

 

木版手摺りの江戸千代紙やぽち袋は、紙の風合い、印刷技法など、さまざまなバリエーションがあり、とても魅力的でした。こうしたグッズは店頭でお気に入りのものが見つかったときに買っておくと、いざというときに役立つと思います。今年のお正月は厳しい状況でありましたが、来年は一同顔を合わせて集えるといいんですけど。

では、次回をお楽しみに!

(写真5) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真5)木版手刷りのぽち袋。

(写真6) | 江戸千代紙のお店「いせ辰」に行ってきました  - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真6)活版印刷で刷られたぽち袋。

菊寿堂いせ辰谷中本店

菊寿堂いせ辰谷中本店

住所:〒110-0001 東京都台東区谷中2-18-9
TEL:03-3823-1453
FAX:03-3823-1458
URL:https://www.isetatsu.com/
定休日 年中無休
最寄り駅 地下鉄千代田線千駄木駅団子坂出口 徒歩5分

菊寿堂いせ辰谷中本店