生田信一(ファーインク)
竹尾 青山見本帖ショウケース展示「FINE PAPER × 活版印刷」に行ってきました
今回のコラムは、竹尾 青山見本帖ショウケース展示「FINE PAPER × 活版印刷」を訪問した様子をレポートします。
活版印刷を応用したさまざまな技法を紹介するとともに、「活版印刷オーダーサービス」を紹介する充実した展示でした。
では、ご案内します。
活版印刷の魅力を再認識する展示
今回ご紹介する展示会の概要は以下の通りです。
青山見本帖 ショウケース展示「FINE PAPER × 活版印刷」
会期:2023年5月15日―6月16日
青山見本帖のショウケースでは、ファインペーパーと印刷加工技術との組み合わせをご覧いただく展示を行っています。
今回取り上げるのは、新しい活版印刷表現の魅力です。
青山見本帖がおすすめする8種類のファインペーパーに、12色のカラーバリエーションで印刷した多彩なパターンの名刺サンプルをご紹介します。
また、グラデーション※1やマーブル調※2といった、新たな手法を用いた特殊活版印刷作品も展示いたします。ぜひ足をお運びください。
※1 色の異なるインキを二箇所に流し込むことで、2色の混ざり合ったグラデーションを印刷する技法。
※2 インキ、顔料を油や石油類と混ぜて印刷し、複数のインキが混ざる前に印刷する技法。
デザイン:猪飼俊介(ALBATRO DESIGN www.albatro.jp)
印刷:PRINT+PLANT www.print-plant.com
展示会場に入ってすぐの場所に活版印刷の版が展示されていました(写真1)。
(写真1)活版印刷の印刷版。右の印刷サンプルは特殊活版の見本。よく見ると、通常の活版印刷は難しい滑らかなグラデーションが表現されています。
驚いたのが、カウンターに置かれた「活版印刷サービス」のパネルです(写真2)。金属の亜鉛版がそのまま飾られているのですが、通常は逆像になって読めないはずの文字が正像になっています。思わず目を疑いました。
(写真2)ショップのカウンターに置かれたパネルは、活版印刷の亜鉛版が利用されています。活版印刷サービスが始まったことが告知されています。
会場に掲示された2枚のパネルや展示テーブルには、本展示の見どころが紹介されています(写真3〜5)。
(写真3)「活版印刷オーダーサービス」の概要を解説したパネル。
(写真4)多彩な活版表現について解説したパネル。活版印刷でも多色活版印刷やグラデーション活版などの多彩な表現が可能。さらに特殊活版として、「ランダム活版」「立体活版」「ゴースト活版」があります。
(写真5)展示テーブルに置かれた本展示の見どころの解説。印刷見本のカードに記されたQRコードを読み込むと、「活版印刷オーダーサービス」にアクセスすることができます。
また展示会場には、活版印刷のアートカードの自販機が設置されていました(写真6)。左側の機械が「GEOMETRIC ART CARD」、右側が「Natural History Card」の自販機。 →参考「遊び心満載のアート体験、活版印刷カード「ALCard(アルカード)」の魅力」
(写真6)会場にはアートカードの自販機が設置されました。コインを入れるとその場で活版印刷のカードがゲットできます。
今回の展示での大きなニュースは、活版印刷のオーダーがファインペーパーのショールームである青山見本帖で行えるようになったことです。
(注)竹尾 見本帖の各店では、淀屋橋見本帖においては従来より活版印刷をオーダーすることができます。東京近郊の見本帖では、青山見本帖が初めての試みとなります。
特に、今回告知された「1色活版名刺オーダー」は、活版の名刺を気軽にオーダーできるシステムで、とてもわかりやすいです。
このオーダーシステムの開発には、猪飼俊介(ALBATRO DESIGN)、印刷はPRINT+PLANT(www.print-plant.com)が担当されました。今回の展示では、猪飼さんやPRINT+PLANTが手がけた活版印刷の事例も豊富に展示されました。
「活版オーダーサービス」を使って活版印刷を発注する
このサイトをご覧のみなさんは、ベテランの方であれば活版印刷の仕組みやオーダーの仕方はをご存じのことと思いますが、初めてオーダーする場合は、用紙やインキ、デザインなどについて、あれこれ悩むことも多いと思います。「活版オーダーサービス」は、こうした悩みを解決し、指針を与えてくれる心強い味方になってくれると思います。
質問に順に答えていくことで、印刷仕様が整理され、さらに見積もりを得ることができます。まずは「活版オーダーサービス」のサイトにアクセスしてみてください(写真7)。 →「活版オーダーサービス」
(写真7)「1色活版名刺オーダー」の画面。
1色活版名刺のオーダーフォームでは、以下の流れで進みます。
< ご注文の流れ >
1. フォームのご記入
2. 青山見本帖店頭にてお支払い
※ お申し込み後1ヶ月以内にご来店ください
※お支払い後のキャンセルはお受けできませんのでご注意ください
3. ALBATRO DESIGNよりメールでレイアウトの確認PDFを送信します。
(その他、デザインや印刷に関するお問合せ・相談はALBATRO DESIGNが窓口となります)
4.納品
(レイアウトご確認後7営業日程度でお受取りいただけます)
活版印刷の仕様を決めるには、
1.用紙の選択
2. 印刷枚数と金額
3. 印刷色の指定
4. レイアウトの選択
の質問に順に答えながら進めていきます。
1. 用紙の選択
8種類の用紙から希望のものを選びます(写真8)。
(写真8)多彩なファインペーパーの中から厳選された8種類の用紙から選ぶようになっています。
2. 印刷枚数と金額
続けて、印刷枚数を選び、金額を確認します(写真9)。
(写真9)枚数を選び、金額を確認します。価格は本記事執筆時点(2023年7月)のもの。
3. 印刷色の指定
続けて、印刷色を選びます(写真10)。
(写真10)印刷色は12色から選べるようになっています。
4. レイアウトの選択
続けて、レイアウトの型(フォーマット)を選び、テキストを入力します(写真11)。
(写真11)レイアウトの型(フォーマット)を選び、テキストを入力する。
豊富な印刷サンプルで確認
展示会場では「活版オーダーサービス」の印刷サンプルが一堂に展示されました。
8種類のファインペーパーで、12色のカラーで刷った印刷見本は、店頭で1枚500円で購入することができます(写真12、13)。また、レイアウトのバリエーションの見本も店頭で確認することができます(写真14)。
(写真12)
(写真13)
(写真12、13)8種類のファインペーパー、12色のカラーで刷った印刷見本。1枚500円で購入できます。
(写真14)1色活版名刺印刷の見本を一覧できるバインダー。タテ型レイアウトの見本が収録されたページ。
活版印刷の拠点が東京・青山に誕生したことはとてもうれしいニュースです。ビジネスの場面で活版印刷が利用される機会も増えるのではないかと思います。
では、次回をお楽しみに!
株式会社竹尾 青山見本帖
住所:東京都渋谷区渋谷4-2-5 プレイス青山1F
TEL:03-3409-8931
URL:https://www.takeo.co.jp/finder/mihoncho/
ALBATRO DESIGN
ALBATRO DESIGNはグラフィック、プロダクト、空間までデジタルとアナログの両視点から新しい価値を生み出す、東京を拠点に活動するデザインスタジオです。
ALBATRO DESIGN is a Tokyo-based design studio that projects new value through specific multilateral perspectives that are derives from a range of analog and digital skills that include letterpress printing to graphic product and space design.
Instagram:https://www.instagram.com/albatrodesign/
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