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平和紙業株式会社
紙の白さを考える②

「白い紙」と一口に言っても、それぞれの紙によって「白さ」が違うことを証明するように、「白い紙」に付けられる色名も、それぞれの「白い紙」の雰囲気に合わせて想像以上に多くあります。

基本的な色名は、「しろ(白)」「ホワイト」が一般的ですが、「しろ(白)」より更に白いことを印象付ける「純白」や「ましろ」。「しろ(白)」以外の表現で、「ゆき(雪)」「きぬ(絹)」「コットン」「ミルク」「メレンゲ」「乳白」「アイス」等々。

「ホワイト」にいたっては、「オフホワイト」「スーパーホワイト」「ウルトラホワイト」「エキストラホワイト」「ダイヤモンドホワイト」「ブリリアントホワイト」「プレミアムホワイト」「マキシマムホワイト」「マックスホワイト」等々、より「白い」ことを印象付けるかのように、様々な「〇〇ホワイト」が存在します。

そして、なにより凄いのは、ざっと調べただけで、60以上存在する「白い紙」の色名に対して、これらの色が、全て違う「白い紙」であること。
一枚だけを取り上げてみれば、確かに「白い紙」であっても、他の白い紙と比べれば、明らかに白さが違うのは、何とも不思議な感じがします。

同時に、「白い紙」の色名を考える人の苦労もしのばれます。その紙の白さを、どう表現し伝えるかを、苦悶しながら考えているのではないかと思うと、身につまされる思いです。

さて、では、そもそも白い紙はどうやって白くなるのか?
紙の原料であるパルプは、木材の繊維であることはご存知の事でしょう。このパルプは、木材を細かく砕いた「チップ」と呼ばれるものを、アルカリ溶液で煮て、取り出します。
その取り出したパルプは、木材特有の茶色っぽい色をしているのですが、このパルプを漂白することで白いパルプが出来上がります。このパルプを使って紙を作ると、白いけれども、それほど白くない紙が出来上がります。

また、木材そのものの種類や、産地などで、出来上がる白いパルプにも若干の色の違いが出来てしまいますし、より白い紙を作るために、多くは、蛍光染料を添加します。この蛍光染料を加えることで、青味のある白い紙が出来上がります。
青味が加わることで、紙自体は白さを増して見えることになります。
蛍光染料の入った紙は、太陽光の下では、真っ白に見えますが、日陰に入ると「暗い白」に見えてしまいます。手近な紙で試してみると面白いですよ。

また、炭酸カルシウムを加えたり、酸化チタンを加えて白さを出す方法もあります。しかし、蛍光染料にしろ、炭酸カルシウムにしろ、酸化チタンにしろ、加える量には上限があります。あまり入れすぎても効果はなく、逆に入れすぎれば、紙の強度にも影響を与えてしまいます。従って、もともとのパルプの色をみながら、加える量を調整する必要があります。

更には、「水」も白さを出す要因にもなります。全ての製紙工場は、多くの水を必要とするため、伏流水や河川などの水を採取し、抄紙に使用しています。ザックリ言えばこの、水の水質も紙の白さに微妙な影響を与えます。
濁った水より、澄んだ水の方が、紙は白く仕上がることになります。

コート紙のように紙の表面に白い塗料を塗ることで、紙色を白く見せる方法もあります。この場合は、基本的にこの塗料の色で紙色が決まるのですが、ベースの紙色が影響する場合もあるため、塗料の色=仕上がりの色になるとは限りません。

紙の白さは、あくまで見た目の色ですので、この見た目の色を維持するのは、なかなか大変なことです。現場の職人が悪戦苦闘しながら、毎回毎回色を合わせるために、四苦八苦しながら「白い紙」を作っていることと思います。

「白い紙」は、あくまで見た目での評価にすぎません。より白い紙が、何を以てより白いのかは、各人の好みの範疇でもあります。
これだけ多くの「白い紙」があるのですから、是非とも自分好みの「白い紙」を見つけたり、作るものによって「白い紙」を使い分けることが、「白い紙」を使いこなすことにつながるのだと思います。

(写真1) | 紙の白さを考える② - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)白い紙に付けられた、「白」を表す色名は、紙の特徴や、白さを表現するために、様々な表現で表されます。
ざっと数えただけで、60種類以上の「白」を表す色名があります。

(写真2) | 紙の白さを考える② - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)白:弊社の見本帳の中にも、1冊の中に、様々な色名の「白」い紙が存在します。
単体で見れば「白い」紙でも、比べてみると、その色の差ははっきりします。

(写真3) | 紙の白さを考える② - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)少し見にくいかもしれませんが、一口に「白い」紙と言っても、紙それぞれに紙の白さは違います。十人十色ならぬ、十紙十色です。

(写真1) | 紙の白さを考える② - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)白い紙に付けられた、「白」を表す色名は、紙の特徴や、白さを表現するために、様々な表現で表されます。
ざっと数えただけで、60種類以上の「白」を表す色名があります。

(写真2) | 紙の白さを考える② - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)白:弊社の見本帳の中にも、1冊の中に、様々な色名の「白」い紙が存在します。
単体で見れば「白い」紙でも、比べてみると、その色の差ははっきりします。

(写真3) | 紙の白さを考える② - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)少し見にくいかもしれませんが、一口に「白い」紙と言っても、紙それぞれに紙の白さは違います。十人十色ならぬ、十紙十色です。