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生田信一(ファーインク)
第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました

造本装幀コンクールは、日本で開催される造本、装幀に関するコンクールです。1966年より毎年1回開催され、前年の1年間に発行された書籍を対象に、出版社、印刷会社、製本会社、デザイナーから応募を募り、部門別に選考を行い、表彰されます。主催は、日本書籍出版協会および日本印刷産業連合会。

今年の造本装幀コンクールの受賞作品22点が発表され、2023年9 月に出版クラブビル(千代田区)にて、受賞者や関係者を招待して授賞式が行われ、同館の一画に受賞作品が展示されました。

今回のコラムでは、装幀・ブックデザインの最新トレンドを一足早くのぞいてみましょう。

第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

造本装幀コンクールとは?

造本装幀コンクールは、1966年(昭和41年)に始まり、造本装幀にたずさわる方たち(出版・印刷・製本)の成果を総合的に評価する国内で唯一のコンクールです。「美しい本」づくりへの意欲を高めるとともに造本技術・装幀デザインの素晴らしさ、紙の本の持つ魅力を広くアピールし、ひいては出版文化産業の発展に寄与することを目的とします。

このコンクールでは、出版の最新トレンドや印刷・製本の最新トレンドを掴むことができるので、毎年この時期の発表を楽しみにしている人も多いでしょう。(写真1)のパネルでは、造本装幀コンクールの歴史や意義が述べられています。

(写真1) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真1)第56回造本装幀コンクール作品からのパネル。

このコンクールでは、前年1年間に発行された書籍を応募対象とし、本文の文字組みから色使い、レイアウト、表紙カバーの美しさや機能性、材料の適正、印刷、製本など、あらゆる角度から審査し、受賞作が決定します。

選ばれた本は、毎年冬に、印刷博物館(東京都文京区)で行われる「世界のブックデザイン展」で展示されます。
さらに入賞作品は、ドイツ・ライプツィヒで2024年2月に行われる「世界で最も美しい本コンクール」へ日本代表として出品されます。

これはわが国の造本装幀のデザイン・技術の素晴らしさを全世界に向けて広げる好機となっています。直近の10年では、以下の日本の書籍が賞を獲得しています。

2022年 銅賞「100年ドラえもん」 → プレスリリース
2020年 銅賞「僕らのネクロマンシー」 → プレスリリース
2019年 栄誉賞「the first」 → プレスリリース
2018年 銀賞「 くままでのおさらい 特装版」
2017年 栄誉賞「 21世紀スポーツ大事典」
2015年 銅賞「 MOTION SILHOUETTE」
2014年 栄誉賞「 トットリッチ」
2013年 銀賞「 魯迅の言葉」

以下に、本年度の第56回造本装幀コンクールの受賞作品を紹介します。
※本の概要がわかるサイトがある場合は、リンク先を示しました。画像はプレスリリースからの引用です。

三賞(文部科学大臣賞・経済産業大臣賞・東京都知事賞)受賞作品

(写真2) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真2)三賞(文部科学大臣賞・経済産業大臣賞・東京都知事賞)受賞作品

(写真2)右から、文部科学大臣賞『海の庭』 (国書刊行会刊) →作品紹介ページ
経済産業大臣賞『MARUHIRO BOOK 2010-2020, 2021-』(マルヒロ刊)※日本印刷産業連合会会長賞とダブル受賞 →作品紹介ページ
東京都知事賞『柴犬二匹でサイクロン』(書肆侃侃房刊) →作品紹介ページ
※ 以下、画像はプレスリリースからの引用です

審査員奨励賞受賞作品

(写真3) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真3)審査員奨励賞受賞作品

(写真3)左から、審査員奨励賞『Mirror』(Zen Foto Gallery 刊) →作品紹介ページ
審査員奨励賞『Kangchenjunga』(POST-FAKE 刊) →作品紹介ページ
審査員奨励賞『BAR BER BAR』(T-bon(e) steak press 刊) →作品紹介ページ

日本書籍出版協会理事長賞賞受賞作品

(写真4) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真4)日本書籍出版協会理事長賞賞受賞作品

(写真4)上段左から、日本書籍出版協会理事長賞 語学・学参・辞事典・全集・社史・年史・自分史部門『瀬戸内寂聴全集 第二十一巻』(新潮社刊)、日本書籍出版協会理事長賞 →作品紹介ページ
児童書・絵本部門『PIHOTEK 北極を風と歩く』(講談社刊)
日本書籍出版協会理事長賞 文学・文芸(エッセイ)部門『法の書〔 増補新訳〕 愛蔵版』(国書刊行会刊行) →作品紹介ページ
下段左から、日本書籍出版協会理事長賞 生活実用書・文庫・新書・コミック・その他部門『こっちだったかもしれない ヨシタケシンスケ展かもしれない図録』(白泉社刊)
日本書籍出版協会理事長賞 芸術書部門『樋口真嗣特撮野帳-映像プラン・スケッチ-』(パイ インターナショナル刊) →作品紹介ページ
日本書籍出版協会理事長賞 専門書(人文社会科学書・自然科学書等)部門『感じる数学 ―ガリレイからポアンカレまで―』(共立出版刊) →作品紹介ページ

日本印刷産業連合会会長賞

(写真5) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真5)日本印刷産業連合会会長賞

(写真5)上段左より、日本印刷産業連合会会長賞『きみも運転手になれる!パノラマずかん 運転席』(パイ インターナショナル刊) →作品紹介ページ
日本印刷産業連合会会長賞 印刷・製本特別賞『鉄道開業150周年 日本鉄道大地図館』(小学館刊) →作品紹介ページ
日本印刷産業連合会会長賞『ぺぱぷんたす006』(小学館刊) →作品紹介ページ
下段左より、日本印刷産業連合会会長賞『それでも日々はつづくから』(新潮社刊) →作品紹介ページ
日本印刷産業連合会会長賞(※ダブル受賞)『MARUHIRO BOOK 2010-2020,2021-』(マルヒロ刊)
日本印刷産業連合会会長賞『地域芸能と歩む』(沖縄県立芸術大学 今を生きる人々と育む 地域芸能の未来)

後援団体賞

(写真6) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真6)後援団体賞

(写真6)左より、日本製紙連合会賞『特別展 「毒」 公式図録』(読売新聞東京本社、フジテレビジョン刊)
出版文化産業振興財団賞『詩画集「 目に見えぬ詩集」 特装版直刷り木版画入り 夫婦箱納』(美篶堂/Book&Design刊) →作品紹介ページ
読書推進運動協議会賞『マークの本』(紀伊國屋書店刊)
日本図書館協会賞『地図と印刷』(凸版印刷 印刷博物館刊) →作品紹介ページ

 

こうしてコンクールの受賞作品を眺めると、日本の印刷・製本技術の凄さを改めて実感します。毎年冬に印刷博物館(東京都文京区)で行われる「世界のブックデザイン展」では、これらの受賞作品展示され、実際に手にとって見ることができます。

では、次回をお楽しみに!

(写真1) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真1)第56回造本装幀コンクール作品からのパネル。

(写真2) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真2)三賞(文部科学大臣賞・経済産業大臣賞・東京都知事賞)受賞作品

(写真3) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真3)審査員奨励賞受賞作品

(写真4) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真4)日本書籍出版協会理事長賞賞受賞作品

(写真5) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真5)日本印刷産業連合会会長賞

(写真6) | 第56回造本装幀コンクールの受賞作品が決定しました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真6)後援団体賞