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平和紙業株式会社
コースターについて考える①

湯呑には茶托、カップにはソーサー、グラスにはコースターが付き物です。

<湯呑と茶托>

そもそもお茶は、茶葉を粉末にしてお湯に解いた、今で言えば抹茶がルーツ。鎌倉時代に臨済宗の開祖である栄西が修行先の宗からお茶の種を持ち帰り、栽培すると同時に、お茶の効能を「喫茶養生記」に表しています。当時は薬の一種として扱われていたようです。
茶道における抹茶は、厚手の茶碗を用いて、適温のお湯を使って、茶筅で撹拌することで、空気を含み、まろやかな口当たりと風味を引き出します。また、飲む時の温度も、適度な温度となっています。
抹茶茶碗は、手から手へと手渡されることもあり、そもそも茶托を使う必要性はありませんでした。

江戸時代に入り、煎茶の風習が広まるにつれ、薄手の湯飲みに熱いお茶を入れることが多くなり、湯呑の下に茶托を敷くことで、直接湯呑に触れずに、お茶を提供するようになってきました。
つまり、お茶を提供する際に触れがちな飲み口に触れず、湯温が高いと火傷してしまう可能性を避けるためのものが茶托です(写真1、2)。

(写真1) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)

(写真2) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)
(写真1、2)湯呑の下に置く茶托は、木製、金属製、ガラス製と材質は様々ですが、一般的には木製のものを多く見かけます。
湯呑だけでお茶を提供するより、茶托に乗せる、このひと手間が、おもてなしの心を伝えることにも繋がります。

<カップとソーサー>

17世紀にヨーロッパに紅茶が伝えられ、18世紀にはイギリスの貴族社会で人気を高めていきます。
当時のお茶を入れる湯呑には、今のように取っ手が無く、日本茶の湯飲みのような形状でしたので、高い温度のお茶は熱くて飲みづらいものでした。
そこで、一旦別の容器にお茶を移し、温度を下げて飲む風習が生まれました。この容器が、ソーサーの部分に当たります。当時は、今のような平らなものでは無く、ある程度深さのあるものだったようです(写真3)。
カップからソーサーにお茶を移して、温度を下げてからお茶を飲むのが、貴族のたしなみの一つだったと言われています。つまり、当時はカップとソーサーは別物だったわけです。
その後、カップに取っ手が付くようになり、直接指に熱さを感じなくなっても、この風習の名残として、カップにはソーサーが付いてくるようになりました(写真4)。

(写真3) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)お茶の文化が伝わったヨーロッパでは、カップのお茶の温度を下げるため、別の容器に移し替えて飲むのが、一般的なマナーでした。
今では考えられない風習ですが、この名残がソーサーで、カップ&ソーサーの組み合わせが、今でも一般的なものとなっています。

(写真4) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)現在では、ソーサーの上にカップが置かれ、カップから直接お茶を飲むのが一般的です。カップだけでも、ソーサーだけでも成立しない文化となっています。

<グラスにコースター>

お茶も紅茶も、もともと熱い飲み物でしたが、グラスに入れられる飲み物は、冷たい飲み物です。
そもそもガラス製のグラスは、古代ローマ時代から存在しています。当時は冷たいと言っても常温の、ワインとか、ビールとかの飲み物が主流でしたので、グラスの下に何かを敷くことはありませんでした。

ガラス製のグラスに冷たい飲み物を入れると、外気温との差で、グラス表面に水滴がつき、その水滴が垂れることで、テーブル上を濡らすことになります。
これを防ぐために、当初はコルクが使われるのが一般的だったようです。
日本において、紙製のコースターが使われるようになったのは、第二次大戦後のことです。
ダグラス・マッカサ―率いる進駐軍の将校クラブで、グラスの下に紙製のコースターを敷いていたのを目にした日本人が、真似して作って使うようになったのがきっかけと言われています。紙コースターが用いられた将校クラブは日本全国に点在していたため、日本に浸透するアイテムとして普及するのは意外と早かったと思われます。
1951年に日本で最初に紙製コースターの製造と販売を行ったのは、株式会社三善(みよし)と言われています。

戦後の日本では主に喫茶店やカフェ、バーや料亭などの飲食店、またホテルや旅館、そしてラウンジやスナックなど夜の水商売などで多く使われるようになりました。
当時は、テーブルが濡れるのを防ぐためだけが目的でもあり、「コースター用紙」と呼ばれるものでは無く、一般の紙を型抜きして使っていたと言われています。

時代と共に、紙製のコースターは、吸水性が必要なため、パルプの密度を下げ、空隙を多くとることで、保水性を高めた、コースター専用紙として、「コースター用紙」が登場します。
弊社取り扱いのコースター用紙として、最も早く市場に投入したものが、「特Aクッション」で、1972年の発売です。実に50年以上前にコースター向けの紙を発売したことになります。

こうしたコースターには、お店の名前や、意匠的な図柄などが印刷されるようになり、お店のPRにも一役かったことだと思います。
しかし、そもそも吸水性を高めるため、紙表面に印刷適性を上げるような塗工をすることもありませんでしたし、水分による紙の収縮も大きいため、シビアな印刷には不向きで、多くは、活版印刷やシルク印刷が主流でした。また、紙の厚みも0.5㎜~1.0㎜程度と厚く、一般の印刷機では印刷しにくいと言う欠点もありました。
昨今では、UV印刷機も多く普及したことで、厚みの問題や、4色印刷のクオリティーも解決されてきています。

湯呑やグラスの下に敷くものではありながら、茶托やソーサーとは、使い方も材質も違うコースターは、コースターとしての使い方以外に、名刺や、ノベルティー、キャラクターグッズなどにも展開されています。
特にパッケージとして、厚さはあって軽く、紙表面は柔らかさはあるのに、折り割れしにくいことから、昨今注目される素材の一つになっています。

コースターに使うだけではもったいない。それがコースター用紙です(写真5)。

(写真5) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真5)コースター用紙で、パッケージの制作も可能です。
弊社取り扱いの「HSKクッションF」で、パッケージの試作サンプルを制作しました。
印刷時や、加工時でのトラブルも無く、風合いのある紙肌と厚みを持ちながら、軽いパッケージの仕上がりとなります。

(写真1) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)

(写真2) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)
(写真1、2)湯呑の下に置く茶托は、木製、金属製、ガラス製と材質は様々ですが、一般的には木製のものを多く見かけます。
湯呑だけでお茶を提供するより、茶托に乗せる、このひと手間が、おもてなしの心を伝えることにも繋がります。

(写真3) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)お茶の文化が伝わったヨーロッパでは、カップのお茶の温度を下げるため、別の容器に移し替えて飲むのが、一般的なマナーでした。
今では考えられない風習ですが、この名残がソーサーで、カップ&ソーサーの組み合わせが、今でも一般的なものとなっています。

(写真4) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)現在では、ソーサーの上にカップが置かれ、カップから直接お茶を飲むのが一般的です。カップだけでも、ソーサーだけでも成立しない文化となっています。

(写真5) | コースターについて考える① - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真5)コースター用紙で、パッケージの制作も可能です。
弊社取り扱いの「HSKクッションF」で、パッケージの試作サンプルを制作しました。
印刷時や、加工時でのトラブルも無く、風合いのある紙肌と厚みを持ちながら、軽いパッケージの仕上がりとなります。