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図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]110
2025年から2026年へ

年が改まり、2026年を迎えました。
新年おめでとうございます。2025年の大晦日と変わらない日常生活をおくれることに感謝したい思いです。

さて、今年は?

昨年は私たちのグループにとって大きな区切りの年となりました。

<図書館資料保存ワークショップ番外編>の活動場所を<ものことあとりえ一頁>から<あとりえ二頁>に移動しました。(関連WEB MAGAZINE:[図書館に修復室をツクろう!]105[図書館に修復室をツクろう!]106

そして<修理系司書の集い>の活動は<図書館総合展2025>現地会場のポスターセッションにアンケートを出展し、「JCCカルチャー・ジャパン賞」をいただきました。2022年、最初にオンラインポスターセッションに出展し、受賞して以来2度目の受賞です。

昨年の現地出展では資料保存関係のアンケートをオンラインと現地同時に行い、いただいた回答をポスター展示しました。

写真1、2は、“「図書館総合展2025「修理系司書の集い」アンケート設問「Q2:今夏の異常気象に関連して、資料保存面で気になること・心配なことはありますか?に「ある」と回答した方へ、具体的に気になることがあれば教えてください。」の回答まとめ画像です。

このアンケートでは、蔵書の保管環境悪化によるカビの発生などの心配が寄せられました。総合展事務局株式会社カルチャー・ジャパンさんによれば、“環境問題で悩んでいる方が多数であることも再確認させていただきました。”ということが受賞理由だったようです。
アンケート結果の詳細は図書館総合展2025の修理系司書の集いのポスターセッションページで公開しています。
(関連WEB MAGAZINE:図書館資料保存ワークショップ[図書館に修復室をツクろう!]107

写真1 | 2025年から2026年へ - 図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

(写真1)

写真2 | 2025年から2026年へ - 図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

(写真2)
(写真1、2)「図書館総合展2025「修理系司書の集い」アンケート設問「Q2:今夏の異常気象に関連して、資料保存面で気になること・心配なことはありますか?に「ある」と回答した方へ、具体的に気になることがあれば教えてください。」の回答まとめ

次は私たちの活動ではありませんが、今後、図書館資料保存に取り組む時、大切な課題と考えられるテーマでセミナーが開催されました。その参加報告です。(写真3)

写真3 | 2025年から2026年へ - 図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

(写真3)京都大学人文研市民共創セミナー 静かなる文化クライシス― 未来世代に近代日本の何を遺すか ―:広報ビラ

セミナーは<京都大学人文研市民共創セミナー 静かなる文化クライシス― 未来世代に近代日本の何を遺すか ―>です。そのセミナーで湯川秀樹旧宅の保存と活用を願う市民の会会長岡田知弘京大名誉教授による“湯川秀樹旧宅の資料保存運動に関わって”と題する発表を伺うことが出来ました。

湯川秀樹博士が亡くなるまで住まわれた旧宅とそこに保管されていた資料類は京都大学に寄贈されました。
湯川秀樹旧宅の保存と活用を願う市民の会関係者から保管資料の蔵書、ノート、書簡、軸、書額などの整理・公開について目途がつけられていないのではないかとのご心配をうかがい、元京都大学の図書館員だった筆者も気にしておりました。
前述の岡田名誉教授、高木博志京大名誉教授(京都大学人文科学研究所名誉教授/NPO法人向日庵理事)に私なりの危惧を訴えたりしていました。(関連WEB MAGAZINE:[図書館に修復室をツクろう!]92

その講演によれば、湯川旧宅所蔵資料は
1.2023年度、所蔵資料の保存・管理・運営方針を検討するワーキンググループを設置
2.WGメンバーは故佐藤文隆京大名誉教授、西山伸(京大)大学文書館教授、岡田名誉教授
3.京大の施設管理者京都大学施設部に資料整理、公開のありかたについて提案し、所蔵資料の詳細目録づくりについて学内各方面に打診
4.その結果京都大学人文科学研究所岩城卓二所長(当時)、福家崇洋準教授らの賛同を得、2025年度現在、人文科学研究所において、今後5年計画で資料の調査、整理、詳細目録づくりを行っている。
とのこと。
私の心配はひとまず一件落着です。

このセミナーの趣旨はセミナー広報ビラにあるように
“超高齢化や地域コミュニティーの弱体化により、日本の近代資料が失われつつあります。
これらは単なるモノではなく、「生きた歴史」です。
文化の危機にどう向き合い、資料を未来へ継承するか。そこに市民はどう関わりうるのか。
かけがえのない記憶を守り、未来を共創していく方法を一緒に模索しませんか。“
というものです。

私たち図書館資料保存ワークショップ番外編やあとりえ二頁と思うところは同じく!です。図書館はここにどのように関われば良いのでしょう。

資料整理・目録作成・デジタル化・公開された後の現物資料の保存・継承・公開はどうなってしまうのか?誰がどう責任をもって継承して行くのか?
[図書館に修復室をツクりたい!]私たちの大きな課題です。

今回人文研のセミナートップバッターは難波辰己氏と藤原辰史教授による講演“『暮しの手帖』の理論と実践”でした。『暮しの手帖』は筆者なども幼少から親しんでいた雑誌です。

暮しの手帖社では花森安治が編集長を務めた1948年から1978年を中心に同社に残る膨大な史料を残し、保存しているとのことです。『暮しの手帖』の前誌『スタイルブック』から新刊まで。さらに終戦直後からの各種書類、また読者からの投稿原稿、商品テスト関係等々。
会場でも書類の現物をご持参、見せていただきました。

一企業、一出版社が戦後混乱期の粗悪な紙資料類を80年近く残し、研究に役立てることができているとは!驚きと感嘆の思いでお二人の掛け合い講演を聞きました。
人文研による“『暮しの手帖』の理論と実践”の研究成果を拝見するのが楽しみです。

そして民間の決して大企業とはいえない出版社で資料の整理・保存に携わって来られた暮しの手帖社の難波辰己氏にお話しを伺い、暮しの手帖社の資料室を見学させていただきた思いが湧いてきました。

というのは
冒頭に書きましたように昨年のアトリエ移転にともなって今年は<図書館資料保存ワークショップ>も方向転換しなければならない年になりそうなのです。
大学図書館に<修復室>をつくりたい!と2003年、図書館資料保存ワークショップを始めましたが、コロナ禍で2019年から京都大学での開催が出来なくなりました。2019年以後は番外編と称して学外、あとりえ一頁で活動していました。
暮しの手帖社さんのように、あとりえ二頁に集う仲間と納得できる<図書館資料保存>活動を探し、楽しく、実践して行きたいと思います。

あとりえ二頁
堤 美智子

写真1 | 2025年から2026年へ - 図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

(写真1)
(写真1、2)「図書館総合展2025「修理系司書の集い」アンケート設問「Q2:今夏の異常気象に関連して、資料保存面で気になること・心配なことはありますか?に「ある」と回答した方へ、具体的に気になることがあれば教えてください。」の回答まとめ

写真2 | 2025年から2026年へ - 図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

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写真3 | 2025年から2026年へ - 図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

(写真3)京都大学人文研市民共創セミナー 静かなる文化クライシス― 未来世代に近代日本の何を遺すか ―:広報ビラ