(株)和光
エンボス・デボスの関係3
前回は製版までをご紹介しました。今回はエンボス、デボス加工をしてみます。同じデザインでエンボスとデボスを加工すると、どうなるでしょうか?
レタープレスコンボキットに真鍮版(上版)をセットします。(写真1)
その上に控えを作った樹脂版(下版)を噛み合わせてのせ、位置を合わせます(写真2)。そして、プラットフォームを閉じれば…
版のセットが完了します(写真3)。このあたりは、慣れているので、すぐできます。経験は宝物ですね。
あとは、紙をのせてレタープレスコンボキットでくるくるしていきます(写真4)。何度やっても、くるくるハンドルを回すのは、楽しいものですね。ハンドメイドで何かを作るという行為は、人間にとって、なくてはならないものなのでしょう。脳が活性化され、充実感が得られます。レタープレスコンボキットよ、ありがとう!
加工が終わったものを最初に見るときが、とても楽しいです。
できあがりました。左がデボスで右がエンボスです(写真5)。デザインをエンボスにするか、デボスにするかは、好みが分かれますが、デザイン全体をどう表現するかでも分かれるところです。
完了!と言いたいところで、今回の案件です。実際のデザインは違いますが、顧客がお客様に納品したところで、お客様からちょっと待ったコール(なつかしい)がかかったそうです。製版した弊社、加工された顧客としても、「?」となりました。通常の手順で製版、加工したのにちょっと待ったの要因はなんなのでしょうか?お客様のご意見は、「エンボスがデザインより細い」とのご指摘でした。各加工を見てみましょう。
確かに、エンボス加工のほうが細く見えます。エッジがかかったところは、データのとおりなのですが、デボスは下の樹脂版の控えた部分から紙の凹みが始まり、真鍮のエッジ部分で凹みが完了します(写真6)。エンボスの場合は、上版の真鍮のエッジ部分から浮き出しが始まり、下版のサポートで浮き上がります(写真7)。デボスの凹み始まりと、エンボスの浮き出し始まりの差で、2つに相違が発生しました。
並べると、確かに相違があります。できるだけ2つの相違の差を縮めなければなりません。続きは次回に。
本年は、ありがとうございました。来年も楽しんで読んでいただけるように精進いたします。よろしくお願いいたします。