生田信一(ファーインク)
「ZINE FEST 東京」に行ってきました
今回のコラムは「ZINE FEST 東京」のイベント会場を訪れた様子をレポートします。「ZINE」のイベントは筆者の大好物で、これまで何度かレポートしてきました。
ZINE(ジン)は、個人や小規模なグループが自由に制作する冊子で、アートや文学、写真、イラスト、詩、エッセイなど、さまざまな表現が可能です。ZINEは「同人誌」から派生したもので、紙に印刷して折ったり、冊子状に製本したものが主流ですが、サイズや素材に決まりはありません。ポスター、カード、手のひらサイズのフォトブック、アクリルを加工したキーホルダーやスタンドなど、形態もさまざま。
開催される地域も全国に広がりを見せ、さまざまなイベントが催されているようです。一緒に覗いてみましょう。
盛況のZINEフェス会場
2025年1月11日(土)、東京台東区・浅草にある東京都立産業貿易センター 台東館にて行われた「ZINE FEST東京」に行ってきました。
このフェスは、ZINEの作り手が一同に集まるイベントで、本年度は過去最大500組700名のクリエイターのみなさんが集まりました。会場の規模も大きく、東京都立産業貿易センター 4/5階のフロアーを使って行われました。会場が浅草の浅草寺から徒歩1分の距離で、休日の午後の散歩コースとしても楽しめそうです。
→https://note.com/bookcultureclub/n/nba43c5c49ea1
会場は多くの来場者であふれ、熱気に満ちていました。500円の入場料が必要ですが、こんなに多くのファンが集まるとは驚きでした(写真1)。
(写真1)「ZINE FEST 東京」のイベント会場。東京都立産業貿易センター 5階/6階のフロアーで行われました。
イベントの情報をいただいたのはクリエイターの井上悠さん。Facebooの投稿でZINEフェスの開催を知りました。
→https://www.facebook.com/photo/?fbid=8235900979844788&set=pcb.8235901156511437
出店グッズのお品書きを読むと、井上さんの最新作のZINEやポスターが販売されるとのこと(写真2)。一般書店の店舗では手に入らない冊子やグッズが入手できるのがZINEフェスの大きな魅力です。作り手と会話を交わしながら冊子やグッズを選べるのが、ZINEフェスの大きな楽しみです。
(写真2)井上さんのFacebookで「ZINE FEST TOKYO」の情報が告知されました。
会場に到着し、井上さんのブースを覗きました。まざまなタイプのZINEが並んでおり、普段オフィスをシェアされている仲間とご一緒に参加されたとのこと(写真3)。
(写真3)ブースにはさまざまなタイプのZINEが展示されていました。
井上さんの作られたZINEは、A5サイズの10枚のカードを封筒にセットしたキットとA3サイズのポスターがあり、迷ったのですが、カードのセットを購入することにしました(写真4〜8)。
(写真4)
(写真4〜8)購入したカードタイプのZINE。線とテープを組み合わせて動物のシルエットを表現した絵柄です。線やテープは手貼りしたようで、重ね合わせやずれが楽しげに見えます。印刷はリソグラグを使っているとのこと。
(写真5)
(写真6)
(写真7)
(写真8)
買い物を終えた後、会場をぐるりと一回りました。作家さんとファンが直接出会える光景は、はたから見てもうらやましい限りです。参加者の中には、当日の展示に間に合わず、自己紹介のフリーペーパーや名刺を配布して宣伝の場として活用されている方もちらほら見かけました。
イベント会場を出て、帰りに浅草寺の境内を散歩しながら、スナップショットを何枚か撮りました。快晴の青空が眩しく、散歩日和の暖かな午後でした。少し歩くと、芝居小屋をみつけました。調べてみると、大衆演劇を専門に上演している劇場とのこと。浅草らしい風情を感じる小屋ですね(写真9〜12)。
(写真9)
(写真9〜12)浅草寺の境内を散歩しながらスナップショットを楽しみました。
(写真10)
(写真11)
(写真12)
「クリエイター100人からの年賀状」展 vol.20
JINEフェスの会場では、井上さんから巳年(みどし)の年賀状をいただきました(写真13)。黒い紙(黒気包紙)に蛇のイラストがデザインされ、蛇の質感が凸凹した金の箔押しで表現されています。
(写真13)井上さんからいただいた巳年の年賀状。
後日、竹尾の見本帖本店で催された「クリエイター100人からの年賀状」展に伺った際に、井上さんの年賀状を見ることができました(写真14〜16)。
(写真14)
(写真14〜16)竹尾 見本帖本店「クリエイター100人からの年賀状」展。
(写真15)
(写真16)
井上さんの年賀状の脇には、以下のコメントが紹介されていました。
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1年の始まりにぎらりと輝く縁起のよい蛇の年賀状を制作しました。
用紙は《黒気包紙U-FS》を使用。紙の風合いはありつつ、フラットかつ黒色のため箔押しが美しく映える用紙です。
箔押しについては粗いテクスチャーで製版。それによって光が箔に乱反射し、ぎらっと輝くと仕上がりとなっています。
デザインは「幸福が長く続く」という意味を込め、うねった蛇をモチーフにしました。
年賀状を受け取った方によい1年が訪れますように。
使用紙:黒気包紙U-FS L判Y目 295kg
(井上悠)
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こちらの年賀状は、竹尾 見本帖本店「クリエイター100人からの年賀状」展 vol.20でご覧いただけます。
「クリエイター100人からの年賀状」展 vol.20
2025年1月24日|金|―2月21日|金|
※見本帖本店・福岡見本帖は土日祝・休、淀屋橋見本帖は無休です
→https://www.takeo.co.jp/exhibition/mihoncho/detail/20250124.html
「クリエイター100人からの年賀状」展は竹尾で毎年催されている展示会で、その年の干支の造形をイラストや立体で表現したり、メッセージの言葉をタイポグラフィで表現したりと、見ていて飽きません。お勧めの展示会です。
今回は、ZINEフェアのイベント、巳年の年賀状について触れました。アイデアや工夫を凝らした年賀状を見るは楽しいですね。
年賀状の利用は年々減少傾向にあり、今年は郵便料金の値上げもあって、配達枚数は過去最低になったそうです。ZINEの盛況ぶりを見ると、いろいろ考えてしまう年明けでした。
では、次回をお楽しみに!