(株)和光
活(い)きた版 「エンボス」
今回は、エンボスについてお話いたします。
皆さんはご存知と思いますが、インキを転写して印刷する以外にエンボス加工があります。
版を使って紙に圧力をかけ、浮き出させる加工です。
浮き上がらせることで、インパクトが出ます。デボスや印刷とエンボスを組み合わせると、表現の幅が広がりますので、是非色々試して下さい。
基本的にエンボス加工では、上から金属版で圧力をかけて版の凸部分で紙を潰し、凹部分で浮き出させます。また、下から樹脂版で紙を挟み込み、浮き出しを強調します。
・金属版
まず、データで浮き出させたい部分を白、浮き出させない分を黒で作成します。(反転する)
(写真1-2)
上下には後で作成する下版(樹脂版)との見当合わせ用のトンボを作成しておきます。
・樹脂版
下から突き上げ用の樹脂版データを作成します。ここでひと工夫。上の金属版と下の樹脂版で紙を挟み込みますので、そのスペースを確保します。作成意図やデザイン内容により、スペースの幅を変えます。デザインによっては、スペースが大きく確保できたり、スペース確保が難しい時があります。(写真3)
今回は0.15mmスペースを確保しましたので、6ptの文字と0.283pt・0.5ptの罫線がなくなっています。エンボスの場合は、スペース確保を前提としたデータ作成が必要です。樹脂版の最低線幅は0.1mm(0.286pt)と考えております。
明朝パターンでも作成してみました。(写真4)
明朝体の文字は大きくても、細い部分があるので、22ptの文字でも無くなっている所があります。
この点もご注意下さい。
では、製版してみましょう。
弊社は製版後に清刷りを作成して検版をしています。樹脂版が逆で出来ているのは、下から挟み込むからです。版の画像を見ていただければ、分かると思います。
では、いざ加工です。
加工はレタープレスコンボを使用します。
まずは、版をセットします。(写真9)
そして、紙をセットしてクルクル回します。(写真10-11)
エンボス加工の出来上がりです。エンボス加工は迫力が出ますね。インパクト十分!(写真12-14)
下の樹脂版が部分的にしかできなかった8ptの文字、そして下の樹脂版ができなかった6ptの文字と0.283ptと0.5ptの罫線は出ませんでした。(写真15)
明朝体は文字がおおきくても、細くて下の樹脂版が作成できなった部分はでませんでした。(写真16)
上と下で挟み込むため、下の樹脂版が作成できない部分は圧力がかからないので、型すらつきませんでした。
これを防ぐ為には、やはりデザイン段階で注意が必要です。
下の樹脂版を違う素材にしてみたら、出来上がりが期待できます。次回は下の素材を変えてみたいと思います。
また、このコラムをご覧の方で、疑問やトラブルを抱えておられる方がおられましたら、ご連絡下さい。版等で解決できるものはピックアップして解決しようと思います。よろしくお願いいたします。