平和紙業株式会社
紙と取り組むSDGs④ -SDGsと多様性-
SDGsの17の目標のベースにあるのは、間違いなく多様性を認めることから始まっています。多様性とは、最近では、ダイバーシティ(Diversity)とも言われ、単にバラバラの個性が共存するだけのこととは、少し違います。
国籍や性別、年齢などの違いを受け入れ、それぞれの多様な価値観や、考え方、発想などを認め合い、活用することを意味しています。
運転免許の受験や更新時に、色覚検査を受けた方も多いと思います。色覚が正常な方には読める文字や数字が、色覚に異常のある方には見えない、読めないものです。
その昔、この検査を受けた時、ある思いが湧いてきました。それは、人それぞれ、同じ色を見ていても、同じようには見えていないのでは?と言うものでした。
例えば青い絵の具の色も、私が見ている青い色と、他の人が見ている青い色では違うのではないかと言うことです。極端に言えば、同じ色を見ているかもしれないし、全く違う色に見えているかもしれないと言うことです。
弊社は、ファンシーペーパーと言う、紙の色や、柄や、風合いなどのある紙を、世の中に送り出していますが、私の見ている紙の色と、他の人が見ている紙の色は、実際には違うのではないかと言う思いが、紙の色を決める際、いつも頭をよぎります。
色は、見る方の年齢によっても違って見えてしまうものです。
以前、色の諧調をテーマにした、「トーンF」という商品を立ち上げる時、私と20代の社員とで、色の監修をしていましたが、時々色の見え方について違いがあることに気づきました。 同じ紙の色を見ているにも関わらず、50代の私には黄色っぽく見え、20代の彼には赤っぽく見える傾向があることに気づいたのです。
私が、黄色っぽいから、少し黄味を控えようと言うと、彼は黄色くないと言い、
彼が、赤っぽいから赤味を控えようと言うと、私は赤くないと言う有様でした。
もちろん微妙な色の差でしかありませんが、世の中に送り出す商品ですから、その微妙な点が気になったものです。
この延長線にあるのが、印刷の効果です。先ほどと同じように、印刷された色も、見る人によって見え方が違う可能性は高いのです。
こうした見え方の違いは、色覚に異常が無い場合でも起こりえることですから、色覚に異常のある方にとっては、尚更の事ではないでしょうか。
色覚に異常が無いことが当たり前ではなく、色覚に異常のある方の事も認め、お互いがストレスなく色を見ることができることも大切なことだと考えています。
色の見え方の多様性を認めるためにも、紙色と印刷の効果がどのように影響しあうのかを、客観的に判断する材料が必要になります。
「見え方はそれぞれ」を具体的に視覚情報に落とし込む、そんな実験的な取り組みを通して、多様性を考える一助とすべく、弊社と、「印刷もできる印刷会社」をテーマに印刷・製本・加工のノウハウを活かした様々な企画や商品開発に取り組む『大和出版印刷株式会社』、ダイバーシティの視点から、企業と共に事業を生み出す『株式会社19(イチキュー)の3社が手を組み、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の印刷技術を掛け合わせて、11色の色に、11色のラインを印刷することで生じる、背景の紙色と、その上に印刷されたラインの微妙な色の感覚のズレを体感できる展示を行いました。
「同じものを見ているはずなのに、背景や視点が変われば別のモノに見える。」ことを通して、紙と印刷の多様性を体感できる場を設けることで、私たちが、自分と相手の違いを知り、認め合うことを意識する一つのきっかけになればと考えています。
同時に、こうした弊社のSDGsへの取り組み事例を、多くの方にも共有していただくためにも、弊社HPにも随時掲載して参りますので、ご一読いただければと思います。
弊社HP「SDGsの取り組み事例」
協力会社
大和出版印刷株式会社 https://www.d-wa.co.jp/
株式会社19 http://archalle.co.jp/
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 https://www.fujifilm.com/fb/