平和紙業株式会社
紙の色を決める
ファンシーペーパーに求められるものは、何と言っても色揃えです。
しかし、無限にある色を無限に作り出すことは不可能です。
そこで、その商品の世界観や、コンセプトに沿った色揃えが重要になってきます。
では、どうやって色を決めているのか、となるとその方法は様々です。
世の中のトレンドを追えば、いずれそのトレンドから外れることもありますし、ベーシックな色揃えだけでは意匠性に欠けたりします。
色揃えの基本となるのが、3原色+白・黒・茶の6色。
そして、3原色をスムーズにつなぐ中間色のオレンジ、緑、紫の3色。
合計9色が色の基本ラインナップです。
同時に、その商品のコンセプトを反映させて、色の濃度や、色の方向性を決めていきます。
つまり、落ち着いたトーンでまとめるのか、ビビットな方向に向くのか、シックな色合いにまとめるのかといった、その紙の特長を最大限引き出す色の構成を考えなければなりません。
色のイメージを具体的に表現することで、紙を実際に作る製紙メーカーの現場の方とのイメージの共有を図ることができます。
色の方向性を伝えるためには、具体的な何かが必要です。
例えば実際に使われている色鉛筆、絵の具、マーカーなどを利用したり、DICやパントーンなどの印刷チップを利用したり、商品として販売されている雑貨の中からセレクトしてみたりと、その方法は多岐に渡ります。
実際の例では、布製のコースターの色を、紙のベースの色にしたことがあります。
落ち着いた色味で、色バリエーションがあり、触った感じもイメージできるような、そんなコースターを利用して、紙の色を決めました。(写真1~3)
印刷チップを利用する場合は、イメージに近い色を数種類並べ、色の方向性を数パターン用意した中で、最もイメージに近い色バランスを確認したりしています。(写真4)
そして色数の選定です。
基本9色としましたが、その紙が使われる用途や、目的に合った色を選定すれば、必ずしもこの限りではありません。
特に中間色の3色は、色のバランスを整えるのにはとても大きな役割を果たしますし、全体に華やかな印象を与えます。
しかし、指(さし)色(いろ)的な要素も多分にあり、他の色の引き立て役になってしまうことが多いのも事実です。
紙の色は、基本的には赤、青、黄、黒の4色の染料(時には顔料)を調合して作り出します。印刷と大きく違うのは、印刷は網点の大きさによって濃度や色の調整を行いますが、紙の場合は染料の分量によって濃度や色を作り出すところです。
紙の原料のパルプは白色ですので、染料の分量を控えて色を出せば、淡い色ができますし、逆に染料の分量を増やすことで、濃度を出した濃い色にすることができます。
当然ながら濃い色は、染料を多く使用するため、単価に反映されることになります。
濃い色は高価な原因はここにあります。
さて、紙の色を選定する際には、その紙のコンセプトがしっかりしていなければなりません。その紙が何を表現しようとしているのか、どんな用途で使ってほしいのか、実際に紙を使う人の目線でそのコンセプトを確立する必要があります。作り手側の勝手な解釈や、思い入れだけではなく、分かり易く、尚且つ他にない商品として、世に送り出すためにも、色は大切な要素です。
紙のコンセプトに沿った色と色数を選定するためには、随分頭を悩ませるものです。
より明確にその商品のコンセプトを伝えるための色選びと共に、商品全体のボリュームを決めることになるからです。
色と同時に色名もその商品のコンセプトに沿っているかどうかも、検討しています。
印象的な色と、色名が揃うと、その商品全体のコンセプトがより一層明確となり、商品の存在感を際立たせることができるからです。