web-magazine
web-magazine

三星インキ株式会社
特殊なアルミペースト

特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

今回は特殊なアルミペーストをご紹介致します。

①蒸着アルミ

蒸着アルミとは、加熱によって蒸発させたアルミをプラスチックフィルムに付着させる事で得られる非常に薄いアルミ皮膜をフィルムから剥がし、粉砕して得られるアルミ顔料であり、一般のアルミ顔料に比べると、比較できない程に高輝度な印刷効果を得る事ができます。
皆さんの周りにも、蒸着ホイル紙や蒸着フィルム、箔押し等の処理が施された印刷物を見られた事があると思いますが、蒸着アルミを使った印刷部は滑らかで、非常に高い輝度感を有しています。
では一般のアルミ顔料とは何が異なるのでしょうか?

非常に簡単に説明致しますが、一般のアルミ顔料の製造工程はアルミを機械等で粉砕し、展延する事で木の葉のような形状を成形しています。つまり細かく砕いたアルミに圧をかける事で平べったくしているのです。
蒸着アルミの製造方法とは全く異なりますね。
従って、どうしても厚みが大きくなってしまいます。

それに対して蒸着アルミの製造方法は、前述の蒸着処理で付着させたアルミ皮膜をフィルムから剥がし、細かく粉砕させて顔料としています。つまり同じ表面積でも薄さが全く違うのです。
では、同じ大きさで重さが違えばどうですか?
当然軽い方が上に浮きやすいですよね。
更に厚みが薄いのでインキ中でも動きやすく、レベリング性も良好である事から印刷部表面に多くの量のアルミ顔料がきれいに配向しやすく、高輝度な印刷効果が得られます。

しかし、蒸着処理をする方法はコストが高くかかる為、非常に高価な顔料となります(一般のアルミ顔料に比べると100倍程度の価格)が、人の目に飛び込ませる効果は高く、ニーズは絶えずあります。

(写真1)一般アルミ顔料 | 特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)一般アルミ顔料
(参考:European Coatings

(写真2)蒸着アルミ顔料 | 特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)蒸着アルミ顔料
(参考:European Coatings

特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)一般アルミ顔料 | 特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)一般アルミ顔料
(参考:European Coatings

(写真2)蒸着アルミ顔料 | 特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)蒸着アルミ顔料
(参考:European Coatings

②樹脂コーティング型アルミ

アルミニウムは1円玉やアルミホイル等に使用されており、普段の生活において何ら危険な事故が発生したという事はありませんが、実はアルミニウムは非常に活性の高い金属で、爆薬等に使用されるような金属であります。
そんな危ないものをよく使っているな!という事になりますが、1円玉やアルミホイルなどはすでに表面が酸化されて皮膜を形成しており、それ以上反応しない(一種のコーティング処理が施された)状態である為に安全であります。
ただ、顔料として使用する際は粒径が細かくなるので表面積が広くなり、より活性度合いが高くなるので不安定な状態となりやすい傾向にあります。なお、アルミニウム顔料の表面は浮きやすくする為に表面処理(脂肪酸を付けているだけ)を施していますが、これが一種のコーティングとなっており、活性を抑制する効果も有しています。しかし、この処方は簡易的なものであり、シェアがかかったり、経時によって表面処理の脂肪酸が変化してコーティングが剥がれる事があり、その場合、アルミニウムの高い活性を抑制する事ができなくなります。

今までに経験した事があるアルミニウムの活性が高い事による事例として、
a)水性銀インキを長期間保管していたところ容器が爆発した(インキ中の水分とアルミニウム顔料が経時で反応を起こして水素ガスが発生したため)
b)平版印刷で使用した銀インキがインキ壺上で余ったので元の缶に戻して置いていたが、次回使おうとすると缶から銀インキがあふれ出ていた(印刷時に使用した湿し水がインキに混入して同様の反応は起こったため)

上記はいずれも水とアルミニウムが反応して水素ガスが発生した為であり、現状の脂肪酸を付ける表面処理では防止する事ができないとの事です。

従って、これらを完全に抑制する為に、アルミニウム表面により強固な皮膜等をコーティング処理する方法があります。
この方法は樹脂(シリカやシランカップリング剤、硝化綿、アクリル樹脂など非常に多岐に渡る)を表面にコーティングを施す事でアルミの活性を抑制する方法であり、脂肪酸のように製造時や印刷時のシェアで剥がれる事がないので、水素ガス発生や変色発生を抑制する事ができます。またワニスやバインダーと接触するのが金属ではなく樹脂である為、金属顔料使用時に問題となる密着不良の改善にも繋がります。
ただし、アルミニウム表面に樹脂をコーティングする事でアルミ本来の輝度感は低下するため、樹脂コーティングされたアルミを使用したインキは輝度感が劣る傾向があります。
しかし、最近は樹脂コーティングの厚さや種類等によって、様々な意匠性のある輝度感を得る事ができたり、酸やアルカリといった成分と接触する環境下でも耐える事ができたりと様々な条件に対応した製品が開発されてきています。
なお、以前にも書かせて頂きましたが、あまり粒径の細かなアルミニウム表面に樹脂をコーティングするのは難しいので、樹脂コーティングされたアルミニウム顔料は凹版や凸版、スクリーン印刷用途で使用される事が多いです。

③着色アルミ顔料

上記樹脂コーティングアルミ顔料と同様に、着色した樹脂をアルミ表面にコーティングさせる事で赤や青などの色を再現するアルミ顔料であり、非常に鮮明な色調を有し、かつ高い金属発色を有する仕上がりとなります。(写真3)
以前に色の再現性について書かせて頂きましたが、色はさまざまな種類の色が混じる事で色がなくなります(減色混合:黒に近づく)が、銀インキと色インキが混ざっても同様の事が起こります。つまり、銀インキに色インキを混ぜると黒味色調となるので鮮明さが低下します。その点、アルミ顔料自体に着色した樹脂をコーティングすれば色の混合が起こらず、鮮明な色調を有する事ができるのです。

ただ、この着色アルミ顔料につきましても、粒径が限られますので、その点ご注意下さい。

(写真3) | 特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)

(写真3) | 特殊なアルミペースト - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)