図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]⑦
本の修理について
皆さんは本の修理をされたことがありますか。ページが取れたり破れたりすることは図書館でもよくあります。そんな時、簡易な修理でも処置することで資料の寿命は変わってきます。
今回は図書館で行っている簡易な修理の一部をご紹介いたします。
ページが破れた時、テープを貼るといった方もいらっしゃると思います。
私も図書館に勤める前はそのように対応していました。しかし、テープを使用すると時間が経つにつれ変色したり、上手く貼れなくてはがそうとすると図書をさらに破損してしまうことがあります。
図書館では保存の観点から和紙とでんぷん糊を使用します。この方法だと、一度でんぷん糊が乾いて固まっても、水を与えればまた溶けるので、必要があれば資料を修理前の状態に戻すことができます。さらに和紙を利用すると修理の跡が目立ちにくいというメリットもあります。この方法は国会図書館が公開している簡易補修テキストに詳しく記載されています。
さらにこのテキストで行う修理について
「動画で見る資料保存:簡易補修(Conservation of Paper Materials Minor Repair)」
という動画で実際の方法を教えてくれるページがあり、たいへん便利です。
実際に修理してみるとページが上手く合わらなかったり、和紙にでんぷん糊を付け過ぎて筆にくっついて使えなくなってしまう等の失敗もあります。
しかし、上手く作業ができて破損個所がきれいに修理できた時は充実感があります。何より失敗してもやり直しがしやすいことが和紙とでんぷん糊を使用する修理の良いところです。
修理しようと思ったときに道具の調達方法について悩むこともあると思います。
そんな時には日本図書館協会のHPで補修に使用する道具・材料一覧(例)が公開されています。
本の修理には確かに高度な技術が必要なものもあります。しかし、比較的軽度の破損でしたら、このように簡易な修理もありますので、ぜひ本の修理に挑戦してみてください。
京都大学資料保存WS
T. Y.
参考にしたHP
・研修・保存フォーラム|国立国会図書館―National Diet Library
・動画で見る資料保存:簡易補修(Conservation of Paper Materials Minor Repair)
国立国会図書館 図書館員向け研修のページ