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京都大学図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]⑧
仮名文字について

今回は、以前、町家で開催されていた古写本の「源氏物語を読む会」に参加していた時に習った仮名文字について紹介します。
いつもの京都大学図書館資料保存ワークショップからは離れますが、大学図書館では、たくさんの古い書物を所蔵していて触れる機会もあるので、参考になるかと思います。

(写真1) 『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』 | 仮名文字について

(写真1) 『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』

仮名は古くからたくさんの漢字のくずし字が使われていましたが、明治33年の小学校施行規則により1音1文字の今の平仮名に統制されたため、それ以外の仮名は変体仮名と呼ばれています。
この会では古写本の文字を読むことを目的に、テキストは(写真1)『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』(伊藤鉄也編 新典社)を使い、1文字ずつ仮名の字母を確認しながら読んでいました。字母とは、仮名になった元の漢字のことです。
このテキストにはハーバード大学美術館に所蔵している鎌倉時代中期頃の古写本の影印と翻字が載っています。

(写真2) 『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』より 右から 表紙の外題、内題、本文冒頭 | 仮名文字について

(写真2)
『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』より
右から 表紙の外題、内題、本文冒頭

テキストの中から何文字か紹介します。(写真2)
表紙の外題の「かけろふ」の1文字目の「か」は「閑」のくずし字です。
内題の「かけろふ」は、1文字目の「か」が「閑」で、3文字目の「ろ」が「路」のくずし字です。
本文冒頭の「かしこには」の「に」が「尓」、「は」が「者」のくずし字です。
「は」の字母が「者」の変体仮名はよく使われています。
このように、変体仮名の字母を確認しながら読んでいくと、同じ本の中の「かけろふ」でも字母の違う仮名が使われていることがわかります。

(写真3) 『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』 | 仮名文字について

(写真3) 『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』

次に、(写真3)は『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』(伊藤鉄也・阿部江美子・淺川慎子編 新典社)です。鎌倉時代中期頃の古写本の影印と翻字です。上段が影印で下段が翻字で、変体仮名の字母が載っているので、自分で学習するテキストとして役立つと思います。
カラー版なので、料紙の型押しや墨流し、また綴じ糸が写っている箇所があるので、装丁についても知ることができ、1冊を丁寧に読んでいくと原本でなくても理解が深まると思います。

(写真4) 北大路橋 | 仮名文字について

(写真4) 北大路橋

また、街なかや身のまわりでも、お店の看板、割り箸の袋、石碑、歌碑などにたくさんの変体仮名を見かけます。
例えば、北大路橋「きたおほぢはし」の「は」は「者」のくずし字です。(写真4)
この「者」は、蕎麦屋さんの看板でもよく見かけます。

このように、書物だけでなくさまざまな所で使われているので、変体仮名が少し読めるようになると、街なかで見つけた時は「読めるかな?」と思って足を止めてしまいます。
国立国語研究所の変体仮名一覧表や、その他にも変体仮名変換アプリなど色々ありますので、これらを参考に身近な所から変体仮名を読むのも楽しいと思います。

京都大学資料保存WS
Y.I.

(写真1) 『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』 | 仮名文字について

(写真1) 『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』

(写真2) 『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』より 右から 表紙の外題、内題、本文冒頭 | 仮名文字について

(写真2)
『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』より
右から 表紙の外題、内題、本文冒頭

(写真3) 『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』 | 仮名文字について

(写真3) 『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』

(写真4) 北大路橋 | 仮名文字について

(写真4) 北大路橋