三星インキ株式会社
色がもたらす影響や意味合い「黄色」
今回は黄色について書かせて頂きます。
黄色は赤色と同様に暖色であり、前に飛び出して実際よりも近くにあるように見える色(進出色)であります。従って、黄色や赤色の車は実際の車間距離よりも近く見える為、無意識で他の色の車よりも車間距離を開けてしまう心理が働き、事故の発生は低くなるそうです(反対に事故発生が多いのは後退色である青色だそうです)。
また、子供たちの通学用カバンや傘、帽子などに黄色のものが多く使われており、アメリカでは通称 YELLOW CAB(イエローキャブ)と呼ばれる程に黄色のタクシーが多く走っていたりしますが、これは前述の進出色である事以外に、黄色は色の中で最も見えやすい(視認性が高い)色である事から、事故の抑制に役立つとして使用されているとの事です。
この視認性の高い黄色と黒を組み合わせると更に目立ちやすくなるとの事から、踏切や立ち入り禁止などの危険な場所に使われています。
自然界でもトラやハチなどがこの組み合わせを身に纏っていますが、これは周囲に自分の存在を主張して警戒させ、自分たちは危険なので近づくなと威嚇する為だとも言われています。
黄色は最も自然光に近い色であり、心理学的に社交的で楽しい気分を作り出し、新しい事を始める時など何かステップアップしたい時に気になる色であると言われています。その他に黄色は黄金に近い色である為に金運を象徴する色であり、聴覚に関連性がある色(黄色い声援)とされています。
また宗教とも非常に縁のある色で、インド宗教では僧侶は黄色の着衣を纏い、密教の曼荼羅の中央に鎮座する大日如来も黄色で描かれている事が多く、最高の色とされています。
反面、キリスト教等では嫉妬や嫌悪といったイメージがあり、イエス・キリストを裏切ったユダは黄色で描かれています。また中国では黄色は堕落や猥褻(わいせつ)等の意味があり、黄色電影や黄色書簡はアダルト映画や雑誌を表すそうです。
ここでも国により色の受け取り方の違いが出てきました。
その昔、黄色は酸化鉄(今でいうベンガラ)を顔料として使用していましたが、その他に『黄鉛』という顔料が使われていました。
黄鉛は名前の通り鉛を含む顔料であり、鉛の特性上、非常に高い隠蔽性を有し、更に耐性が強い顔料である事から外装塗料やサビ止め用として現代まで使われてきましたが、白色で使われている鉛白同様、鉛の持つ毒性の高さから、現在では使用制限がかけられています。