失われた台湾の書体を探す「書体の成り立ち」
Text by 陳秀美
Editor by Miki Wang
上海華文正楷銅模鑄字株式会社が、1934年に一世を風靡した楷書の鉛活字を開発した。有名な書道家ー陳履坦の書がベースとなっている。この活字の点、折れとはらいなど一画一画が洗練されてとても上品で美しい形をしている、書そのものの美しさが経験豊富な彫刻師の手によって最大限に再現した。当時、多くの印刷所がこの楷書活字を複製して販売するまで人気だった。
数年後に、この活字は「風行鋳字社」(1949~1969)を通して、中国の廈門市から台湾に渡って流通し始まった。さらに、台湾の3 大活字鋳造会社の「中南社(中南鑄字廠)」*1(1928~2000)、「秀明社」と「華文社」からはじめ、多くの会社が真似して同じ活字を複製していた。その中でも、一番長く運営した中南社が鋳造した活字が唯一、美しくて質が高いと公認された。
1949年からこの楷書書体の活字が台湾に渡り、今年で丁度70周年になる。漢字の美しさ、他の書体には比較できない幅広い収録文字数などといった特長を持ち合わせているため、印刷業界の好評を博し、書籍、広告と様々な文書が書かれている印刷物で広く使用されていた。元々台湾は日本と香港から渡来している活字の母型を使用していた、楷書のバリエーションも豊富だった。しかし、近年では全台湾の活字鋳造会社で探してもこの書体の活字しか残っていない。活版印刷が一番盛んだ時代が終わり、徐々に衰退して行く中で、「中南鑄字廠」などの活字鋳造会社も休業し、当時一世を風靡した美し活字も、21世紀の台湾の日常から消えていた。
活字のやまない魅力に惹きつけられた私達は、この書体の歴史の全貌を明らかにして後世に伝えたいという思いで、2008年から、「阿之寶」*2 チームは、職人師匠がいつも言っているあの楷書書体を探し、初号サイズのデータを採集し、それをもとにデジタル化してフォントを製作することに決定した。
消えかけになっていた書体を探し出す道のりは極めて困難だった。私達は台湾の各地で、まだ印刷を続けている数の少ない活版印刷所、楷書活字の母型を製作している電鍍金工場と活字鋳造会社を訪ね、データ採集するために数えきれない量の活字を調べて比較し、当時の活版の印刷物で楷書の見出しを探すなどできるだけ多くのデータを収集した。しかし、母型は何度も繰り返し使用されたため、経年劣化で新しい活字の鋳造に耐え難い。また、台湾最大の活字鋳造会社「中南鑄字廠」も2000年に休業した関係で、書体の復原作業が何度も停滞していた。仕方なく、改めて活字の型をとり、ようやく2017年に各他活版印刷所の職人師匠のおかげで、元書体の文字数に近づけ、漢字が少しずつ揃えて採集作業を終えた。
10年間の調査を行い、幾重にも重なるデータの採集と整理作業を経て、この消えかけになっていた楷書活字の書体が台湾当代文化で再び光り出す。該書体は台湾で流通して半世紀も超え、すでに国民共同の文化と記憶の一部となっている、故に「台湾鉛楷体」と名付けた。
*1「中南社(中南鑄字廠)」
台湾台北市貴陽街の「中南鑄字廠」は日本統治時代の活字鋳造会社(1928~2000)、経営した72年の間ずっと、台湾では最も規模の大きい鋳造会社だという。盛んだ時期に鋳造所に26台の活字鋳造機を保有し、100名以上のスタッフが在籍、今まで鋳造した銅製母型が総数30万個に達し、全台湾各活版印刷所へ流通している。「中南鑄字廠」は活字印刷時代を見守っていた。当社が開発した書体は各種印刷物で広く使用され、台湾の「国民的書体」とも言える。
*2 台湾「阿之寶」
2006年に創立され、台湾の多文化を中心に活動する団体。以前は美術設計事務所として運営し、現在は編集・出版をメイン、台湾の活版印刷文化の宣伝に力を入れている。「字田。活印盒」組版研究室とコラボレーションし、プロダクト「活版印刷キット」を開発、IF、GoodDesignなどのデザイン賞を受賞。「失われた台湾の書体を探す」も台湾「阿之寶」チームが10年間をかけて企画したプロジェクトの1 つ。
Translation by Tei Jyo
尋找臺灣消失的字體「緣起」
Text by 陳秀美
Editor by Miki Wang
1934年,上海華文正楷銅模鑄字股份有限公司製作發行了一套鉛字,由書法家陳履坦所書,再由篆刻師傅描摹雕刻而成,這套字體深具書法之美,點、勾、捺之間流露端正儒雅的氣質,甫發行即風靡印刷界,各廠爭相仿製販售。
十多年後,這套字體透過「風行鑄字社」(1949~1969),自廈門引進臺灣,從此在臺灣流通。臺灣大大小小的鑄字廠紛紛以此楷體做為字種,仿製此套鉛字,其中包含當年台灣三大鑄字廠「中南社(中南鑄字廠)」*1、「秀明社」「華文社」。但唯有中南鑄字廠營運最久(1928~2000),且為當年活版印刷界公認字體最優美,鉛字品質最佳。
此套楷書字體自1949年進入臺灣迄今,2019年將滿70年,其字體優美、字數齊全,普遍見於書籍、廣告、各式文本與印刷品中,在活版印刷業界廣受好評,公認是最秀麗雅致的楷體字。早年臺灣字體銅模來自日本與香港,楷書有多款可供選擇,然而全臺各鑄字廠數十年來卻僅發現此套楷書字體,實值得研究調查。可惜隨著時代變遷,活版印刷勢微衰頹,中南等鑄字廠早已歇業,而昔日美麗的鉛字,幾乎不復存於二十一世紀的臺灣日常生活中。
2008年出於對鉛字的熱愛,試著尋找老師傅口中的絕美字體,一點一滴拼湊出這套字體的前世今生,也不願這套字體就這樣悄悄消逝在歷史的洪流中,於是我們決定以臺灣現存老活版印刷廠字架上的初號楷體鉛字為採集基礎,做成數位字型檔,盡棉薄之力保存這套字體。
一路上,阿之寶*2 團隊尋找臺灣各地老活版印刷廠,或以此套楷體鉛字為字種的電鍍銅模廠、鑄字廠,檢閱過無數字架只為了取字打樣;甚至比對、採集早年活版印刷書籍刊物上的楷體標題字,以保留更多樣本。然而鑄字用的電鍍銅模一經使用即開始耗損,隨著時光流逝,電鍍銅模日漸耗損不堪使用,只得不斷取鉛字為字種重新翻模,歷經數十載,同源的字種在各廠自行翻造、修補、造字湊數之後,已與原廠字體頗有出入,曾是臺灣最大的中南鑄字廠也於2000年結束營運,機具文物全數出清,使得採集工作因此多次停頓。所幸2017年終獲多位活版印刷老師傅協助,完成田野採集工作。
歷時10年田野調查、採集、整理,終於能向大眾分享這套鉛字楷體,讓她再度成為臺灣當代文化風景中發光的一角。由於這套鉛字楷體在臺灣民間流通超過半世紀,已屬於國人共同文化記憶的一部分,故我們將本套字體命名為《臺灣鉛楷體》。
*1【關於中南鑄字廠】
設於台灣台北市貴陽街的「中南鑄字廠」是日治時期的鑄字老店(1928~2000年),營運72年間一直都是臺灣規模最大的鑄字廠,鼎盛時期廠房內有26台鑄字機,一百多名員工,總數超過30萬個銅模,供應全台大部分的活版鉛字印刷廠,為活版鉛字印刷高峰時期的見證人,廣泛運用於各類文件與書籍,堪稱臺灣的「國民字體」。
*2【台灣阿之寶團隊簡介】
「阿之寶」創立於2006年,為台灣的多元文創團隊,前身為專業美術設計工作室,目前專職從事編輯出版工作,推廣台灣活版印刷文化,並與「字田.活印盒」合作出品產品活印盒,榮獲IF、Good Design 等設計大獎。「尋找台灣消失的字體」是台灣阿之寶團隊歷經十年調查與採集,為籌備10年的數位計畫。