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(株)和光
8.5mmの壁

前回作成した新プラットフォームVer.2を持ち込んで、「くるくる版画博覧会」に出店しました。そこで箔押しユニットをご覧になった方から相談が持ち込まれました。その相談内容とは、「現在使っているプレスマシンでも箔押しができないか?」というものでした。その筐体とは、「Sizzix Sidekick」でした。(写真1)

(写真1) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真1)

Sizzix Sidekickは超コンパクト(88mm×128mm×120mm)で取り回しがよく、場所をとらずに気軽に印刷、ダイカットができる筐体です。しかし、コンパクトなゆえに、今回の箔押しの視点から見ると、問題が多い筐体です。決して筐体の問題があるのではなく、実に扱いやすいのですが、上下のローラー間のギャップが問題です。エボリューション等の中型のプレスマシンはローラー間のギャップが約20mm程あり、様々な熱源を使用できるのですが、Sizzix Sidekick等の小型のプレスマシンは小型なだけにローラー間のギャップが8mm程しかありません。今回のSizzix Sidekickのローラー間のギャップは約8.5mmでした。(写真2)

(写真2) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真2)

エボリューションに使ったカートリッジヒーターは9mmφなので使えません。Ver.1のヘアアイロンの熱源も約10mmあり、これも使用できません。そこで思い出したのが、とある熱源です。そのものとは一体何でしょうか?ヒント画像をご覧ください。(写真3)

(写真3) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真3)

このノズルをみなさん、一度は見たことがあると思います。エボリューションで箔押しをしようと思った時に、一番最初に使おうとした熱源です。その時分解して、何かに使うと思い、ずっとストックしてありました。私のコラムのどこかに載っています。探してみてください。熱源を分解してみましょう。(写真4)

(写真4) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真4)

割れて小さくなっていますが、右の塊が熱源です。PTCサーミスタと呼ばれ、これに電気を流すことで自己発熱し、更に一定の温度まで上昇すると、その温度を保つことができます。左が電気を流す電極です。組み合わせて、ショート防止のフィルムで巻いて熱源自体は完成です。肝心な厚みはどうしょうか?(写真5)

(写真5) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真5)

3mmとかなり薄めです。フラットフォームの必要要素としては、プラットフォームの底板、プラットフォーム本体、プラットフォームの天板。これが最低でも必要で、天板はローラーの圧力がかかる部分なので、薄すぎると、割れてしまいます。プラットフォーム本体の厚みも、できるだけ確保したいです。すべて適度の厚みがほしいですが、8.5mmの壁が立ちはだかります。まるでスマホの開発みたいです(少々大袈裟ですが)。厚み3mmの熱源は、大変助かります。厚み重視の熱源確保なので、問題はあるでしょうが、これ以上薄い熱源が見当たりませんでした。

まずは、プロトタイプのプラットフォームを作成し、検証をしていかなければなりません。
次回に続きます。

(写真1) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真1)

(写真2) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真2)

(写真3) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真3)

(写真4) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真4)

(写真5) | 8.5mmの壁 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真5)