図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]106
図書館資料保存ワークショップ番外編2ページ目へ
私ども「図書館資料保存ワークショップ」は2003年京都大学附属図書館の一室を借りて
職員の私的な活動として出発しました。そのころの経緯は『ネットワーク資料保存』第84号 (日本図書館協会資料保存委員会発行)に掲載されています。
それから延々、およそ20年間ブログや京都活版印刷研究所さんのWEB MAGAZINEで発信し続けながらコロナ禍で京都大学での開催ができなくなるまで職員の自主的な活動を続けました。
そして2019年からは京都伏見の<ものことあとりえ一頁(旧永田製作所)>さんで<図書館資料保存ワークショップ番外編>と名乗って、主として修理のためのルリュール勉強会を続けました。
ブログを始めた当初のメンバーに代わっての発信や<図書館資料保存ワークショップ番外編>の運営は、学外での開催場所である<ものことあとりえ一頁>の管理者であり、WEB MAGAZINEの執筆者でもある永田千晃氏にお願いしてきました。
更に時を経て、2025年8月には永田氏がWEB MAGAZINE 103号で報告していますようにアトリエは次の活動場所へ移転しました。この号ではその報告をいたします。
京都伏見からの移転先は滋賀県大津市。この報告を書いている筆者の自宅です。
筑97年の日本家屋の玄関土間、玄関の間、居間(筆者個人のルリュールアトリエを兼ねていた)などに大型小型資材や道具、材料を詰め込みました。
2025年8月3日の移転当日運び込まれた大型カッター、エトーなどの他、段ボール箱詰めの細々した道具や材料などの収納作業をぼつぼつ行い、8月30日(土)には番外編メンバー全員集合でアトリエ再開に漕ぎつけることができました。
まずアトリエの名称は<ものことあとりえ一頁>改め<あとりえ二頁>とします。
改めというより、一頁をめくり、二頁へ進むというココロです。
二頁というからには一頁は?という“はてな”を抱いてもらえる。アトリエの歴史を表現しています。そして、皆で3頁も4頁も5頁も。。。頁をめくり続けるつもりです。
一方、“図書館に修復室をツクる”との私たちの目標は?
<あとりえ二頁>はあくまで、修理のためにルリュールを勉強するためのアトリエです。
図書館の資料保存や修理・修復を実際に引き受けて図書館業務として行う場所ではありません。そして、筆者や住人が高齢故、存続は数年に限られるでしょう。
筆者は寡聞にして、いまだ京都大学をはじめとして大学創立の明治時代以来の莫大な蔵書を抱える旧国立大学、現国立大学法人の図書館には図書の修理や図書保存施設の管理を専門に行う部門が設置されていないと承知しています。
図書館資料保存ワークショップは、2003年発足当初の開催場所としては、京都大学附属図書館という公的な空間から離れ、筆者個人宅というプライベイト空間へ移ってしまいました。
“図書館資料を自分たちの手で治したい”との意志をもって、本好きの仲間が集まり、人の輪を広げ、研鑚をつみ、情報交換し、楽しく勉強会を続けて現在に至りました。
が、再度“図書館に修復室をツクる”との私たちの目標に目を向けると。。。
“日暮れて途遠し”そのものです。
しかし翻って8月30日のオープンパーティでのあの賑やかさを見れば、あとりえ二頁のメンバーの元気さ、熱心さ、明るさが、まだ暗い途を照らしてくれることでしょう。
このWEB MAGAZINEを読んでくださる方々にも“図書館に修復室をツクる”ためのお知恵を拝借したいと思います。
そして、あとりえ二頁へどうぞご期待ください。
堤 美智子
あとりえ二頁・図書館資料保存ワークショップ
(写真1)大型カッター
(写真2)かがり台とエトーなど