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三星インキ株式会社
印刷方式と印刷物について 第1回

2016年の日本国内のインキ出荷量は、経済産業省の統計で総量364,739トンとの事で、各印刷方式による割合として、平版インキは128,332トン(35.2%)、凹版インキ(グラビアインキ)は160,177トン(43.9%)で、この2つの印刷方式用のインキで全体の約80%を占めるとの事です。つまり、私達の身の回りに存在する印刷物の多くは、どちらかの印刷方式で印刷されたものだと言えます。では、身の回りにある印刷物はどの印刷方式で印刷されたものなのでしょうか?

それは印刷物を見れば、ある程度判断する事ができます。
考える前に、もう一度、印刷方式についておさらいしてみます。

印刷方式と方法をまとめると表1の通りとなります。

印刷方式と方法 | 印刷方式と印刷物について

表1)印刷方式と方法

そして、5つの印刷方式の内、有版印刷である4つの印刷方式の特徴は表2の通りです。

有版印刷である4つの印刷方式の特徴 | 印刷方式と印刷物について

表2)有版印刷である4つの印刷方式の特徴

更に、今まで紹介した5つの印刷方式の他にも、特殊な印刷方式として、パッド印刷・コロタイプ印刷といった印刷方式も存在します。

・パッド印刷

凹版を使用した印刷方式で、凹版に入れたインキを一度シリコンパッドに転写し、その後にシリコンパッドから原反に転写させる、いわゆるオフセット印刷を行う印刷方式であり、弾力があるシリコンパッドで印刷する為、平面だけでなく、多少の曲面や凹凸面にも印刷する事が可能な印刷方式です。平面以外にも印刷する事ができ、グラビア印刷並みの画像再現性かつ小ロットへの印刷が可能である為、ノベルティへのネームやロゴ入れ等に使用される事があります。

・コロタイプ印刷

コロタイプのコロとは膠(にかわ)すなわちゼラチンの事で、ガラス板上に塗布した感光液を含んだゼラチンを紫外線で露光させる事で表面の強度に違いが発生し、その版を水に浸す事でゼラチンの膨潤状態に差が生じる事で水とインキの受容性が異なり、それを利用して水とインキの反発で印刷する、いわば1種の平版印刷であると言えます。更にゼラチン表面は膨潤によって凹凸が発生し、凹部に入ったインキが転写されるので、平版印刷よりもインキが多く転写されます。
尚、コロタイプ印刷は耐刷性が非常に劣り(300枚程度)、更に印刷自体も非常に手間がかかる事から汎用性には欠けますが、緻密でなめらかな濃淡表現が可能であり、文化財の複製等に使用される貴重な印刷方式であります。

今月はここまで。
次回、「印刷方式と印刷物について 第二回」に続きます。

印刷方式と方法 | 印刷方式と印刷物について

表1)印刷方式と方法
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有版印刷である4つの印刷方式の特徴 | 印刷方式と印刷物について

表2)有版印刷である4つの印刷方式の特徴
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