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京都大学図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]⑪
革装丁本の修復

以前のコラムに続いて、修復関連の話題をもう1つ。

古くなった革製品がボロボロと剥がれて、手や衣服が汚れてしまったという経験をされたことがある方は多いと思います。
図書館の革装丁の本も、背や表紙の革の部分が粉をふいたようになっていることがよくあります。
これは、「レッドロット」と呼ばれ、革が長期間にわたり空気中の汚染物質にさらされることで、コラーゲン繊維が破壊され、粉状になって剥がれていってしまう現象です。
使用する人や周りの図書や書架に汚れが飛び散り、その本自体も壊れていくので、修復をしなければいけません。
現在レッドロットの修復手順は、革を接着剤で固着させ、剥がれ落ちるのを防ぐという方法が一般的です。

【レッドロット修復の流れ】

1.乾いた布で汚れをふきとる
2.HPC(ヒドロキシ・プロセル・セルロース)を塗る
3.保革油を塗る
4.アクリルポリマーを塗る

革装丁本の修復 | 京都大学図書館資料保存ワークショップ

HPC(ヒドロキシ・プロセル・セルロース)とは、粉状になった革を固着する化学物質で、レッドロットの修復剤として広く使用されています。
このHPCは粉末なので無水エタノールに溶かして、液状にしたものを塗ります。

革装丁本の修復 | 京都大学図書館資料保存ワークショップ

HPC液で剥離を止めたら、革の保護のために保革油を塗ります。
これによって、油分を加え柔軟性を回復させます。
最後に、アクリルポリマーを塗って、皮膜を作り、劣化物質が入り込まないように保護します。

京都大学の図書館には、100年以上前の古い革装丁本がたくさんあり、劣化も進んでいます。
簡単に買い換えられるようなものではないため、修復しながら使い続けています。
写真は戦前に発行された『日本化学総覧』という雑誌を修復したものです。
(実演しているのはマスコットキャラです)
革製本した箇所がボロボロと剥がれ落ちる状態でしたが、HPC溶液を使うとしっかりくっつきました。

古い資料のデジタル化が進んでいるとはいえ、冊子体でしか読めないものもたくさんあります。
きちんと修復して、利用できる状態にしておくのも図書館員の重要な務めです。

京都大学図書館資料保存WS
N.K.

【参考にしたHP】

Conservation for Identity 革装本のレッドロット対策

革装丁本の修復 | 京都大学図書館資料保存ワークショップ

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