図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]⑲
早期発見! 早期治療!
本のページが一枚外れてしまった。というのはよくあることです。本の綴じられ方で、「無線綴じ」と呼ばれる方法は一枚、一枚の紙を糊だけで表紙に貼り付けているものです。今、本屋さんに並んでいる本の中でもペーパーバックと呼ばれる、表紙が厚紙程度で、そんなにしっかりしていない本は無線綴じが多いのではないでしょうか。最近の造本に使われる化学糊は良いものになって来ているのでしょうが、それでも糊だけて紙の端を表紙につけているのでは、開いたり、閉じたりを繰り返していると良く読む本程剥がれてきてしまいます。
図書館の本も同様で、ワークショップのメンバーR.M.さんが「本の修理に使う道具のお話:糊について」で糊の紹介記事中、外れたページの治し方を書いています。
今回私は「ページが一枚外れた」、または、「外れそうだ」の極初期の壊れのときに、いち早くビニール糊で所定の箇所に付けて置くと、その後の破損を大幅に防ぐことができると強調したいと思います。
早期発見、早期治療は本の病気に関しても同じなのです。図書館では本の修理や修復の仕事をする専門の部門が無い状況なので、本の病気を発見しても、なかなか早期治療とは行きません。
しかし、個人の愛読書でしたら、大きく壊れてしまう前に直したいですよね。今回私が愛用している料理本を、ちょこちょこっと治すページ外れの修理を紹介してみようと思います。
1)竹串でビニール糊を、本文の綴じの方の端にチョンチョンと付けます。ビニール糊と図書館風の呼び方をしましたが、「木工ボンド」として文房具屋さんなどに打っている糊を使います。速乾性なのがちょこちょこ修理に向いています。(写真1)
2)本の該当箇所に貼り付けます。
この時、あるべきページの箇所であること、上下のむきが正しいかをよくよく確認します。元あったのでない場所に貼り付けてしまったらアウトです。(写真2)
3)本の綴じ付け部分(「のど」と呼びます。)に奥まで差し込むように手で押さえ、貼り付けます。(写真3)
4)本を閉じて板の間に挟んで重たい本などを置き、しばらく重しをしておきます。
ビニール糊は速乾性なので、一枚位の貼り付けでしたら、貼った後に本を閉じ、上からしっかり押さえる程度でも貼りついてくれます。(写真4)
図書館資料保存ワークショップ
M.T.