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生田信一(ファーインク)
「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました

「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

今回のコラムは「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」の展示会を訪れた様子を紹介します。会期は2024年11月28日(木)〜12月1日(日)の4日間。筆者は土日の混雑を避け、平日の金曜日に出かけました。快晴で暖かく、スマホのカメラを片手にスナップショットを楽しみながら会場に向かいました。

では、一緒に覗いてみましょう。

「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

東京都現代美術館と木場公園

「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」の会場は東京都江東区にある東京都現代美術館です。筆者は東京メトロ東西線「木場駅」を下車、徒歩で木場公園を抜けて会場に到着しました。木場公園は風光明媚なスポットで、秋の紅葉を楽しみながら会場に向かいました。(写真1〜3)

写真1 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真1)

写真2 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真2)

写真3 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真3)
(写真1〜3)会場の東京都現代美術館へは、東京メトロ東西線「木場駅」を下車、徒歩で向かいました。公園の木々が色づいて鮮やか。

美術館に入ると、平日ながらもすごい人でした。入り口を抜けると出展者のブースが並び、机に並べられた書籍やグッズを見たり、作家の方と直接お話しすることができます。気にいった本に出会うと、ついつい話し込んでしまいます。

気に入った本を物色しながら進んでいくのですが、買い物をすると財布の中身がどんどん減っていきますし、荷物が重くなってしまうことにも気をつけねばなりません。(写真4、5)

写真4 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真4)

写真5 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真5)
(写真4、5)会場入口付近の光景。ブースには作家さんがいらっしゃることもあり、いろいろ質問すると楽しいです。

写真1 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真1)

写真2 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真2)

写真3 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真3)

(写真1〜3)会場の東京都現代美術館へは、東京メトロ東西線「木場駅」を下車、徒歩で向かいました。公園の木々が色づいて鮮やか。

写真4 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真4)
(写真4、5)会場入口付近の光景。ブースには作家さんがいらっしゃることもあり、いろいろ質問すると楽しいです。

写真5 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真5)

ブックフェア会場

いくつか印象的なブース紹介します。

Stedl Book Award Japanの展示ルーム

最初に紹介するのは、「Stedl Book Award Japan」の会場(写真6〜8)。シュタイデル(独: Steidl)は、ドイツ語写真集の国際的な出版社。同社が手がけたアートブックが一同に集められたミニ図書館といった展示でした。以下、X(Twitter)からの引用です。

「【EXHIBITION】Steidl Book Culture
ドイツを拠点とするSteidl は1969年創業以来、ヴィジュアルブックの企画、編集、デザイン、印刷、出版までの工程を自社で行う世界屈指の出版社/印刷会社です。TABFでは、Steidlが手がけたビジュアルブック約1,100タイトルを全て集めた展覧会「Steidl Book Culture, 2006-2023」を開催。アーティストのビジョンに忠実に、細部にまでこだわり抜いて創りあげられた数々の作品を、ぜひ会場でお手に取り五感で体験してください。TABF2016で開催したダミーブックアワード「Steidl Book Award Japan」関連展示も同時開催。」

写真6 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真6)

写真7 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真7)

写真8 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真8)
(写真6〜8)Steidl Book Cultureの特別ブース。

筆者のシュタイデルとの思い出は、ずいぶん前に、シュタイデル社の写真集『SAUL LEITER Early Color』を購入したことに始まります(写真9)。ソール・ライターを知ったのは、映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』を観て深く感銘を覚え、氏の写真集が無性にほしくなったのがきっかけでした。
映画予告編リンク→https://www.youtube.com/watch?v=zS9sgux05h8

この映画では、ソール・ライターが日々、写真とどのように向き合い、写真を撮っているのかを伝えていました。街中に出かけ、美しいと思った風景や構図を切り取り、コンパクトカメラで撮影していく様子が淡々と紹介されていました。今風に言えば、ストリートフォトやインスタ写真というジャンルに近いかもしれません。仕事(ファッション)のために撮る写真ではなく、プライベートフォトです。

写真を現像すると、一枚の絵になっていることに驚かされます。レンズを向けたときに構図が決まっているのです。ソール・ライターが亡くなった後、大量のネガやポジが見つかり、シュタイデル社の元で一冊の写真集にまとめられたわけです。

また、シュタイデルがアートブックを手がけたプロセスを克明に追ったドキュメンタリー『世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―』があります。こちらもおすすめです。
映画予告編リンク→https://www.youtube.com/watch?v=u1PFWDeYYtw

写真9 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真9)シュタイデル社の写真集『SAUL LEITER Early Color』。

『花椿』の展示ルーム

資生堂のブースでは、「花椿」2024年号が配布されていました。壁面には、特別な号に参加したフォトグラファーによる作品が展示されていました。以下、X(Twitter)からの引用です。(写真10)

「【SPECIAL BOOTH】花椿 2024年号 — CARE
2024年、『花椿』はその前身である1924年創刊の『資生堂月報』から数えて100周年を迎えます。この節目となる年に、初めて海外からクリエティブ・ディレクターとしてフランス人のクラリス・ドゥモリを迎え、新たな『花椿』を制作しました。2024年号のテーマは“CARE”。情報にあふれ、忙しい日々を送る現代において、花椿の目を通じて改めてケアの重要性を探り、さまざまな角度から考察しました。TABFの会場では、この特別な号に参加した写真家による作品も展示いたします。ぜひその世界観を体験し、2024年号を手に取ってください。」

写真10 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真10)資生堂 企業文化誌『花椿 2024年号 — CARE』の展示。

ART BOOK VENDING MACHINE FOR KIDSの展示ルーム

子供向けのイベントルームでは、子供向けの絵本やワークシップが企画されたほか、絵本の自動販売機「ART BOOK VENDING MACHINE ROR KIDS」が展示されていました。以下、Facebookからの引用です。(写真11)

「【PLAYGROUND】
TOKYO ART BOOK FAIR(TABF)2024では、2022年よりスタートしたTABFの子ども向けコンテンツ 「Kids’ Reading Room」を、「PLAYGROUND」としてあらたにパワーアップして開催します。今年のゲストカントリーでもあるドイツの絵本を自由に読める「Kids’ Reading Room」では、グリム童話をはじめ、ミヒャエル=エンデ、エーリヒ・ケストナー、トミー・アンゲラー、ヤーノシュ、オトフリート ・プロイスラー 、ヘルメ・ハイネなど、日本でも知られる名作家の翻訳絵本や洋書絵本など新旧さまざまなタイトルを選びました。アートブックやZINEを販売するTABFオリジナルの販売機「ART BOOK VENDING MACHINE」では、アートブックとしても楽しめる絵本を中心に、ユニークな出会いを提供します。また、アーティストによる予約制のワークショップや随時参加可能なWosetによるワークショップ、物販コーナーなど、親子でたのしめる企画なども盛りだくさんです。
協力:株式会社 子どもの文化普及協会、Woset」

写真11 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真11)TABFオリジナルの販売機「ART BOOK VENDING MACHINE」。

イベント「TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH」主催のワークショップ

筆者は、夕方開催のワークショップ「TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH」に参加しました(写真12)。

写真12 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真12)「TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH」を紹介するリーフレット。

このワークショップは、ポラロイドカメラを使った写真撮影を体験するものでした。以下、TABFサイトからの引用です。
リンク→https://tokyoartbookfair.com/events/16756/

「簡単な写真のレクチャー(約10分)、8枚のポラロイド写真の撮影(約30分)、撮影した写真を見ること(約20分)を通じて、写真によって身近な世界を再発見してみましょう。このワークショップでは、与えられた8つのキーワードを手がかりにTABF内で写真を撮影し、その写真を参加者みんなで講評することで、写真の面白さや新しい視点に気づく体験ができることを目指します。」

撮影はTABF会場内あるいは外に出て行います。一人一台のポラロイドカメラとフィルムが支給され、撮影に外に出かけます。戻った後に講評会が行われました。夕方5時過ぎからのスタートで、外は暗くなっていたのですが、筆者は外に出てわずかの灯りを探して撮影を試みました。暗い写真がほとんどですが、時間が経つと徐々にディテイルが表れ、デジタルカメラとは違ったフィルムの質感が表れます。(写真13)。

写真13 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真13)ワークショップで筆者が撮影したポラロイド写真。

写真6 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

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(写真6〜8)Steidl Book Cultureの特別ブース。

写真7 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

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写真8 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

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写真9 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真9)シュタイデル社の写真集『SAUL LEITER Early Color』。

写真10 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真10)資生堂 企業文化誌『花椿 2024年号 — CARE』の展示。

写真11 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真11)TABFオリジナルの販売機「ART BOOK VENDING MACHINE」。

写真12 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真12)「TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH」を紹介するリーフレット。

写真13 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真13)ワークショップで筆者が撮影したポラロイド写真。

楽しいお買い物

最後に、筆者がTABF会場で購入した書籍を紹介します。

(写真14)は、レトロ印刷さんのブースで購入したレトロ印刷の作り方の冊子と印刷見本をバインダーで綴じた見本帳です。
リンク→https://retroinsatsu.com/

レトロ印刷は、RISO(理想科学工業)が製造・販売するデジタル印刷機リソグラフを使った印刷物を指します。一度に特色2色で印刷が可能。孔版印刷のしくみで刷るので発色が鮮やか、独特な印刷効果が得られます。近年のTABFでは、リソグラフを使ったポスターや出版物が目立っており、ZIN制作の頼もしい味方になっています。

写真14 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真14)レトロ印刷さんのブースで購入したレトロ印刷の作り方の冊子と印刷見本をバインダーで綴じた見本帳。

(写真15)は、書籍『和田誠 日活名画座ポスター集』。版元の888booksさんのブースで購入。以下、888booksさんサイトからの引用です。

「新宿、現在の丸井の場所に、かつて日活名画座という映画館があった。格安で名画をみられることから人気が高かった。
その映画館のポスターを無償で9年の間、制作していたのが22歳から30歳の頃の和田誠だ。
日活名画座のポスターは和田誠の初期の活動を紹介するうえで、欠かせない重要な作品だ。
当時グラフィックデザイナーに活用されていたシルクスクリーンの工房サイトウプロセスからの依頼によって、月に2枚程度制作されていた。
これまで和田の展覧会や作品集では一部の展示(掲載)や、イラストレーション部分のみをまとめており、全貌は明らかではなかった。
本書は和田誠事務所に保管されていた185点のポスターをまとめたもの。シルクスクリーンのヴィヴィッドな色合い、大胆な構図は今なお、今だからこそ新鮮でスタイリッシュだ。
和田誠のファンはもとより、映画ファン、またグラフィックデザイナー、デザイナーを志す人たちにとっても刺激になる一冊に違いない。」

解説によると、表紙はシルクスクリーンで刷られているとのこと。本文の印刷も綺麗で、ついつい衝動買いしてしまいました。

写真15 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真15)『和田誠 日活名画座ポスター集』(発行:888ブックス)。

 

今回は「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」を訪れたレポートをまとめてみました。会場で撮ったスナップ写真を通じて、熱気をお伝えできたのではないかと思います。

アートブックを愛する人にとっては、年に一度のかけがいのないイベントで、筆者もこの時期はハイテンションになります。ここでしか手に入れることができないグッズに出会うことができますから、毎年の開催は見逃せません。

では、次回をお楽しみに!

写真14 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

写真14)レトロ印刷さんのブースで購入したレトロ印刷の作り方の冊子と印刷見本をバインダーで綴じた見本帳。

写真15 | 「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」に行ってきました - 生田信一(ファーインク) | 活版印刷研究所

(写真15)『和田誠 日活名画座ポスター集』(発行:888ブックス)。