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紙ノ余白
仕立ての話「裏打ち」

仕立ての話「裏打ち」 - 紙の余白 | 活版印刷研究所

私の仕事に、染め上げた和紙を「仕立てる」という作業があります。

アートパネルに仕上げたり
襖に張ったり
封筒や時計にしたりとオーダーに応じてお仕立てをします。

それら仕立ての作業の前にとても大切な作業「裏打ち」があります。

裏打ちとは、本紙の裏側にさらに別の和紙を貼る作業。
この作業は染め加工で水分を吸い、そして乾燥をした和紙のコンディションを整えるために不可欠な工程です。

また、世の中の多くの和紙や紙はそれぞれの用途に応じて水や油の吸込止め加工が施されていますが、私が扱う和紙は「生漉き(きすき)」といって、自然に楮(こうぞ)を漉いただけの和紙。
このような繊細な和紙は何かに貼る際、下地の影響を受けやすく、また、収縮も非常に強いため、そのまま貼るとせっかくの和紙の柔らかな表情を損なってしまいます。
それを補ってくれるのが、「裏打ち」という作業なのです。

裏打ちをすることで楮の繊維の存在感が際立ちます。 | 仕立ての話「裏打ち」 - 紙の余白 | 活版印刷研究所

裏打ちをすることで楮の繊維の存在感が際立ちます。

この裏打ち。ただ、和紙を貼れば良いのかというと、答えは単純ではなく、和紙、貼る物、仕立て方、最終の用途、それぞれに応じ使う和紙が異なり、貼り合わせる際の和紙の繊維の向きや、表向きに貼るか、裏を利用して貼るかも仕事によって異なります。

また、貼り合わせるときに使う「糊」も加減があります。
薄い濃い。多い、少ない。厚い、薄い。のせる、こする。引く、薄める。
厳密にはもっとあります。
加減を言葉で表現するのは難しいですね。
無意識にかつ、目的に応じて刷毛を持つ手というか、体で反応するのです。
刷毛先から伝わる和紙の声を敏感に聞き取り、糊を付ける。

仕立ての多くにこの刷毛加減が必要ですが、特に「裏打ち」の時は体のセンサーが最大限敏感になります。
生漉きという繊細な和紙の声はまた繊細だからです。

品格ある仕立て上がりはこの「裏打ち」がちょうど良い加減で丁寧に施されているか。それにつきます。
下準備でありながら、染め紙という「素材」が「品物」に生まれ変わる瞬間でもあります。

朱色の裏打ちで結婚式の招待状のお仕立てに。 | 仕立ての話「裏打ち」 - 紙の余白 | 活版印刷研究所

朱色の裏打ちで結婚式の招待状のお仕立てに。

仕立ての話「裏打ち」 - 紙の余白 | 活版印刷研究所

裏打ちをすることで楮の繊維の存在感が際立ちます。 | 仕立ての話「裏打ち」 - 紙の余白 | 活版印刷研究所

裏打ちをすることで楮の繊維の存在感が際立ちます。

朱色の裏打ちで結婚式の招待状のお仕立てに。 | 仕立ての話「裏打ち」 - 紙の余白 | 活版印刷研究所

朱色の裏打ちで結婚式の招待状のお仕立てに。