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京都大学図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]71
図書館総合展 ポスターセッションに出展します、
「修理系司書の集い」と申します!

(写真1) - 図書館総合展 ポスターセッションに出展します、「修理系司書の集い」と申します! - 京都大学図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

今年も図書館総合展の季節がやって来ました!
みなさん「図書館総合展」ってご存知でしょうか?
国内最大の図書館関係トレードショーであり図書館会最大の交流イベントです。
図書館といえば本。
図書館そのものやその運営に関わる人々、印刷、出版、それから図書館設備に関わる企業や団体など。本をみなさんに提供するには無数の人々、企業が関わっています。
そういった企業や関係者の取り組みを知り、コミュニケ―ションを取れる催しです。
1999年に初回開催。コロナ禍までは、パシフィコ横浜などを会場に開催されてきましたが、2020年以降はオンラインへ、そして現在はオンラインとサテライト会場のハイブリッド開催を続けています。
図書館員からすると、ちょっとした図書館関係団体のお祭りの様な印象もあり。
どんな企業がどんな取り組みしているのかな?
カビ対策はやっぱ、○○さんのブース観とかないと!
あの出版社さん出展してるんだ!
オンライン講座あるみたいだし、聞いとこうか。
古文書の翻刻してるグループがあるらしいよ。
なんて、その時期には出展者について話題になります。

今までは観に行く側の図書館総合展。
それが今年はなんと、ポスターセッションという形で出展者側になってしまいました。

図書館総合展には、企業や団体の出展するコーナー。
それからテーマを一つに絞ったグループやチームで出展できるコーナーがあります。
それがポスターセッション。
ポスターといっても、ポスター1枚の出展でないといけないわけではなく、イベントの告知もできるし、グループの活動を紹介する図書館総合展開催期間中に公開できる、ブログだとか、ちょっとしたHPのような感覚での発信ができるのです。

私たち資料保存ワークショップは、活動を続ける中、東京で同じように資料保存や資料の修理について興味をもち、活動する人々との出逢いにより、お互いの活動内容や各々の職場やそれ以外の場での活動環境のこと。周囲の同志のそういった状況を知る中、それぞれに資料の修理を行うことの難しさや、知識や技術の継承の問題などが共有されます。
私たち資料保存ワークショップも活動を続ける中、興味をもって下さりワークショップに訪れられた人々からも、いつも同じことを聞いてきました。
私たち資料保存ワークショップでさえも、同様に職場で活かすことの難しさを感じて来たのです。職場の資料の保存、修理についての勉強会だったはずなのに。
このWEB MAGAZINEの記事の中でも何度も触れてきていますが、道具、技術、人、時間、予算が圧倒的に現場に足らないのです。

手仕事が好きな人がやってるんでしょ?って言われることもあります。
もちろん、嫌いだったらしません!
手を動かし、何かを作ったり直したりするのが好きな私たちです。
だからこそ、大切な資料を閲覧と保存に耐えられる状態に直し、継承したい。
その役に立ちたいと思っています。

図書館の現場、特に私の属する大学図書館の資料のオンライン化はコロナ禍以降特に加速が進んでいます。オンライン化以前の電子データのない資料は、現物からスキャンしてデータ化することが急がれます。古い資料は、そのスキャン作業に耐えうるものばかりでしょうか。
誰かの人の手で、修理や補強が必ず必要となります。
大学図書館では、糸の切れた古典籍、ページの外れた図書、背の外れた図書、修理する時間も人も無く、溜め置かれている状況をよく見かけますし、耳にもします。
海外の大学図書館では、修復室が併設されているとも聞きます。
専門業者に依頼する程でもない破損資料は、自分たちの手でその場で直し、なるべく早くまた配架し、一人でも多くの人の手に取ってもらえる様にしたい。
研究を支える仕事をしている私たちはそう思うのです。

破損した大切な資料をほっとけない!そんな人たちの思いを見える化したい!

館内修理、やってる?
誰が?どこまで?どうやって?
材料って何を使ってる?道具は?
困ったときに相談する人はいる?
そもそも修理の方法ってどこで学んでる?

私たちは、資料保存に関わる、関わりたいけど困難を感じている、そのような図書館員がどれくらいおられて、どういった環境でどれくらい取り組んでおられるか、まずは調査したい。
そして、一緒に取り組める環境づくりを模索したい!

東京の仲間からの提案に、私たち資料保存ワークショップとの思いが一つになり、2022年の図書館総合展のポスターセッションに出展することにしました。

出展名は、「修理系司書の集い」

この思いに共感頂ける図書館員の方たちの存在を知りたくて、まずはアンケート調査からスタートします。
ご興味持って下さった方は、11月1日(火)~スタートの私たちのアンケートへぜひご回答ください!
みなさんの職場環境、技術や知識のことなど、気軽にお聞かせ頂けると嬉しいです。
いただいたアンケートの回答は、順次可能な限り公開してゆきます。

日常それぞれ大学や機関図書館に勤務するメンバーで運営しておりますので、更新がスローペースになってしまうことは、あたたかい目でどうかご容赦いただき、「修理系司書の集い」をどうぞよろしくお願いします。

全国の図書館が、司書ひとり一人が、”会場“になる!図書館に関するすべてが集まる!
第24回 図書とともにすすめるまち・教育・情報の未来「図書館総合展」は、
会期:2022年11月1日(火)~11月30日(水)
たくさんのご訪問、お待ちしています。

(写真2) - 図書館総合展 ポスターセッションに出展します、「修理系司書の集い」と申します! - 京都大学図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

■「修理系司書の集い」: 資料保存の現場見える化アンケート
@第24回 図書館総合展ポスターセッション
11/1(火)~公開予定!WEB MAGAZINE公開10/15(土)時点では、準備中です!〜
https://www.libraryfair.jp/poster/2022/86/

■図書館総合展HP
https://www.libraryfair.jp/

■第24回 図書館総合展_ONLINE-Plus 開催案内
https://www.libraryfair.jp/sites/default/files/download/2022-09/LF2022Panf_fixed220922.pdf

■ポスターセッション会場
https://www.libraryfair.jp/poster

 

ここから話は少し反れます。
図書館員の雇用形態に関してのお話し。
図書館職員って、実は非正規雇用者が非常に多いということをご存知の方はどれくらいおられるでしょうか。
これを書いている私も、非正規雇用時代かつ派遣職員時代が長く長くありました。
非正規雇用の図書館員たちはみんな、それでも図書館が好き、本が好き、の思いを支えに厳しい就労条件の中勤務しています。司書は、専門職です。非正規雇用でも長い勤務経験で、正規職員同等かそれ以上かの専門知識を持った人が多くいます。
図書館の運営はそのような人たちによって支えられています。
同じ図書館員、司書として、そういった環境を知ってもらいたいし改善したい。

「修理系司書の集い」のメンバーから教えてもらった署名活動で、私たちの活動ではないのですが、図書館の現場についての”見える化”という意味で共通することもあり、応援したくご紹介させてください!

こちらも、多くの方の署名、アンケート、お待ちしています!

■図書館非正規職員の待遇改善を求めるオンライン署名活動
「私は最低賃金+40円・手取り9万8千円で働く非正規図書館員です。図書館の今を知り、未来のために署名をいただけませんか?」
https://chng.it/drZWP4yp8k

図書館員を対象とするアンケート調査
https://forms.gle/XxPThu3D56pyK9uH9

資料保存WS
小梅

(写真1) - 図書館総合展 ポスターセッションに出展します、「修理系司書の集い」と申します! - 京都大学図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所

(写真2) - 図書館総合展 ポスターセッションに出展します、「修理系司書の集い」と申します! - 京都大学図書館資料保存ワークショップ | 活版印刷研究所