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森カズオ
文字のある風景⑩
『漢字』~感じる字~

文字のある風景⑩『漢字』~感じる字~ - 森カズオ | 活版印刷研究所

漢字は面白い。そう思わないか?偏と旁を組み合わせて、いろんな意味がつくれる。表意文字だかこそできるコミュニケーションがある。

これまで日本人は、中国から漢字を輸入し、それを自分たちなりに変化させて、新たな文字をつくり出した。それは、いわゆる「国字」として、独自の世界を生み出してきた。それについては、以前のコラム「『国字』~日本でつくられた漢字たち~」でも書かせていただいた。

これまでつくられてきた国字を見ていると、なんとイマジネーションに富んでいるか、絵を描くように文字をつくっているか、ということに心を打たれる。一目見て、伝えたいメッセージが響いてくる。なんて、漢字は面白いのか!と、感動してしまう。

考えてみれば、漢字は、すでに固定しているわけではないのではないか。これからも、新しい漢字をどんどんつくっていってもいいのではないか。毎年、流行語大賞なるものが選定されるが、同じように「今年の新漢字」がつくられてもいいのではないか、と思う。

ということで、自分勝手に、オリジナルの漢字をつくってみたいと思う。それをクイズ形式で、みなさんに提示しようと思う。しばしの間、楽しんでほしい。

文字のある風景⑩『漢字』~感じる字~ - 森カズオ | 活版印刷研究所

まずは、第一問。門構えを使った新漢字のクイズ。

(写真1) | 文字のある風景⑩『漢字』~感じる字~ - 森カズオ | 活版印刷研究所

さあ、どうだろう。解答を書いていこう。

①は、門構えに手。これは「ノック」をイメージ。コンコンという音が聞こえてこないだろうか。②は、「フットオンザドア」。押し売りの常套手段である、ドアに足をはさんで室内に上がり込む手法を漢字にしてみた。③は、「のぞき見」。壁に耳あり、障子に目あり。もちろん、門にも監視の目があるはずだ。④は、マスク。花粉が舞う季節には、鼻に門を建てなければ、如何ともしがたい。⑤は、パック。肌の老化を防ぐ門をイメージして。⑥は、「猫出入口」。ドアの下に小さなドア…のイメージ。⑦は、少しひねって「箱入り娘」。恋心を門で閉ざされているという意味。⑧は、“臭いものに蓋”という印象で、「消臭剤」。効果ありそうだろうか。⑨は、“門の中に閉じ込められた光”ということで、「カンテラ」。門を開けば光があふれてくる感じが伝わるだろうか。最後に⑩は、どうだろう。“門の中にいる鳥”。何を想像するだろうか。答えは、「鳩時計」。門を開いて、現れて時刻を教えてくれる。

どうだろう。字に何か、感じるものはあっただろうか。漢字とは、まさに「感字」なのである。それは、逆にいうと、感じるままに新しい文字をつくってもいいということではないだろうか。誰もがインスピレーションを得られるならば、新しい感字は、ほんとうの漢字になれるのではないか、と思っている。

(写真1) | 文字のある風景⑩『漢字』~感じる字~ - 森カズオ | 活版印刷研究所

では、イマジネーションを広げて、さらなるクイズを楽しんでみよう。次の10個の漢字の意味を考えてみてほしい。

(写真2) | 文字のある風景⑩『漢字』~感じる字~ - 森カズオ | 活版印刷研究所

すべて魚偏の漢字。いずれも、これまでにない、まったくオリジナルの文字である。では、解答を。

まず、①は、「チョウチンアンコウ」。頭から伸びた発光器をモチーフにしてみた。②は、魚の皇帝という印象を持たせて「ナポレオンフィッシュ」。③は、帯のように見えるということで、深海魚の「リュウグウノツカイ」。④は、牙が特徴的な魚。これも深海魚の「ホウネンエソ」を表現している。⑤は、斑模様が美しい「金魚」。ちょっとしんどいかな(笑)。⑥は、イガグリみたいに見えるから「ハリセンボン」。いかがだろうか。⑦は、痺れる魚ということで、フグではなく「デンキウナギ」。高圧のデンキで獲物を痺れさせる。⑧は、見ての通りで「シタビラメ」。ムニエルがおいしい。⑨は、見るからに華のような海の天使「クリオネ」。⑩は、希少な魚ということで、我ふるさとに生息する天然記念物「アユモドキ」。

いかがでした?偏と旁を組み合わせれば、無限大といってもいいくらい、いろんな意味を生み出すことができるのが漢字。まさに、感じるままにイマジネーションを広げることができる。さあ、あなたも、オリジナル「感字」をつくってみないか。

(写真2) | 文字のある風景⑩『漢字』~感じる字~ - 森カズオ | 活版印刷研究所