(株)和光
活(い)きた版 「印刷テスト(製版編)」
前回は、データ作成までをご紹介しました。今回は製版編です。早速作成したデータをネガ出力します。(写真1)
それでは気になる細かいところを見てみましょう。まず、1ptの文字です。ちなみに「和」の文字の高さは0.33mmです。(写真2)
次に、0.283pt幅の罫線で、0.1mmスペースの同心円です。(写真3)
最後に100lpi、5%のアミ点です。(写真4)
クリアに撮影出来てませんが、再現されています。(このあたりの文字等は製版業上、できて当たり前ですが…)
それでは、樹脂版から製版してみました(写真5)。樹脂版の製版工程の説明はまだだったと思いますので、後日、改めてご説明します。
細かい所をチェックしてみましょう。まず、1ptの文字です。(写真6)
0.25pt幅の罫線です。(写真7)
製版はできていますが、横に文字のブロックがあり、補強されています。単独の罫線の場合、製版時によれてしまう可能性があります。また、製版時によれていなくても、印刷途中でよれや欠落する可能性があります。
0.283pt幅で0.1mmスペースの同心円です。(写真8)
100lpi、5%のアミ点です。(写真9)
樹脂版はアミ点再現性を前提に作られていますので、問題なく製版されています。
次に、真鍮版を製版します。(写真10)
真鍮版で1ptの文字はどうなったでしょうか?(写真11)
真鍮をエッチングによって製版する工程上、1ptの文字の再現は不可能でした。他のptの文字はどうでしょうか。
2ptの文字は所々再現できていない部分があります。(写真12)
2.5ptの文字は製版できていますが、エッチング深度が浅い所が目立ちます。(写真13)
3ptの文字は製版できていますし、エッチング深度も結構確保されています。(写真14)
文字の最小ptとしては、3ptが無難となります。しかし、3ptだと、腐食不良リスクが有りますので、できるだけpt数は大きい方がよいかと思います。
次に、0.25pt幅の罫線はどうでしょうか。(写真15)
製版できています。
0.283pt幅で0.1mmスペースの同心円はどうでしょうか。(写真16)
0.1mmスペース部分が細くなっていますが、製版できています。
100lpiで5%のアミ点はどうでしょうか。(写真17)
所々製版できていますが、大部分がエッチングされてしまっています。それでは、他の%のアミ点を見てみましょう。
10%のアミ点は所々ドットがなくなってしまっています。(写真18)
20%のアミ点は再現できていますが、エッジ部分が所々エッチングされてしまっています。(写真19)
30%のアミ点も20%同様になっています(写真20)。おそらく、印刷仕上がり上は問題ないレベルですが、エッチング深度も浅くなり、印刷工程でインキローラーの版へのアタリ調整に気をつけなければなりません。
弊社では、アミ点の製版は樹脂版をお勧めしていますが、その理由がこのアミ欠落とエッチング深度の浅さです。アミ点が入ったデザインの場合は、樹脂版の選択がベターになります。
樹脂版、真鍮版において総合的に判断すると、罫線の最も細い線幅は、0.283pt。文字の最小ptは3ptとなります。
また、アミ点に関しては、真鍮版では30%以上が望ましく、樹脂版では、3%位が限界最小%となります。できるだけ樹脂版をチョイスしてください。
活版印刷用データ作成時等に、ご参考になれば幸です。